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イノベーションの黄金時代はもう始まっている: Inspire 2017 で見た、働き方改革と AI の活用で拓かれる未来

2017年8月29日
By: TJ

Microsoft 365

【Microsoft Inspire に参加しました】

Inspire 17 月 15 日から 19 日までワシントン D.C で開催されていた Microsoft 本社のパートナー向けイベントに参加してきました。
昨年までは Microsoft Worldwide Partner Conference という名前で呼ばれていたこのカンファレンスですが、今年から Microsoft Inspire と名前を変え、Microsoft とパートナーとがお互いに 「インスピレーション」 を与え合う場という位置づけがより鮮明となっています。

もちろん AvePoint も参加し、2017 年度のパートナー オブザ イヤーを受賞した公共向けソリューション AvePoint Citizen Services を大いにアピールしたほか、GDPR や公共向けクラウドなどのホットな話題にスピーカーを登壇させるなど、非常に充実した 4 日間を過ごしました。

かつては Microsoft の 「付属品」 に過ぎないとする向きもあったパートナー ISV ですが、現在は、AvePoint をはじめとする ISV が Microsoft と共同で製品開発に取り組むことは、決して珍しいことではなくなってきています。パートナーが今や Microsoft の機能補強に欠かせない存在として捉えられているということは、私にとっても非常に感慨深いことでした。

この Inspire で、世間的にはもちろんのこと、Inspire の会場やキーノート セッションで、大きな注目を集めていたのが AI (人工知能) です。

【AI の根幹をなすのは、「人の生活を楽にする」 という目的】

残念なことですが、AI という用語はとかく誤解されがちな傾向があるようです。『ターミネーター』 や『マトリックス』 等のポップカルチャーの影響もあってか、「人工知能の反乱」「AI に駆逐される職業」 といったようなトピックが盛んにメディアに登場するなど、必要以上に 「正体が分からないもの」「怖いもの」 として捉えられてしまっている傾向があるように思います。

しかし、AI と呼ばれるソリューションやテクノロジーの中身をしっかりと見てみると、実際は 「コンピューターの高度な学習能力を活用して、仕事や生活を楽にする」 ことが AI の根幹をなしていることがわかります。

light例えば今回 AvePoint は、アプリを使って壁の落書きを撮影するだけで、必要なく市区役所の部門に連絡が飛ぶという ソリューション を披露しました。

これも実は Azure Machine Learning、Cortana Intelligence Suite、Dynamics CRM、PowerBI、などの AI 機能を基幹として実現したソリューションです。

このソリューションがあれば、住民が 「この問題の通報はどこにすればいいのだろう」 と探し回ったり、いざ役所に出向いてみるとたらいまわしにされて困ったり、という問題が一気に解消します。対応する自治体職員も、自分の部署の担当する業務に集中して仕事ができるようになるため、誰にとってもうれしい状況が実現するというわけです。

Inspire 2また、AI は、本来情報の流れから取り残されがちだった人々に手を差し伸べるためにも大きな力を発揮します。

中退率の高さに悩まされていた 米国のある校区 では、Microsoft クラウドのテクノロジーを援用した AI 分析で生徒のデータを分析し、各生徒の欠席率や健康状態などの中退の 「危険信号」 を察知してカウンセリングなどを行うようにしたところ、卒業率を 55% から 82.6% まで引き上げることに成功しました。

このように、AI は現存する問題を解決するための 「増分改善」、つまり 「日常の問題をより楽に解決するための変化」 を生み出す変化のために大きな力を発揮することができるのです。「人のように考えるロボット」 だけが、AI の目指すものではありません。

【紙ベースの情報管理からの脱却でイノベーションを起こす】

このような 「日常の問題をより楽に解決する変化」 は、時として企業・組織のカルチャーを大きく変革する契機となることがあります。

flight私は AvePoint の CEO を務めて既に 10 年近くになりますが、過去数年間 「紙」 の書類に触ったことは、ごく一部の例外を除き数えるほどしかありません。必要な書類はすべてクラウドに格納されており、必要に応じていつでも取り出すことができるようになっているからです。

紙の書類のデメリットはいろいろありますが、最大の問題のひとつは 「情報の適切な共有が非常に困難になる」 という部分にあります。

私自身、現在米国・シンガポール・日本の各拠点間を行き来しながら仕事をこなしています。

しかし、大部分のドキュメントはクラウドに保存されているため、例えば顧客や同僚を待たせたり、うっかり空港や訪問先で紛失したりという心配はありません。

逆に、もしすべての情報を書類の形式で持ち歩かなくてはならないとしたら、到底現在の安心感をもって仕事をすることはできないでしょう。

紙が中心の業務形態であれば難航する契約のレビューや C レベル間での情報交換もすべてオンラインで完結できるため、顧客対応を含めた業務のスピードも向上します。

しかし、多くの公共組織や企業では、いまだに紙ベースの業務形態が当然視され、その結果として住民サービスの質や雇用者の満足度、意思決定のスピードなどが犠牲にされてしまっているという現状があります。

ワークスタイル変革もイノベーションも、このような 「当たり前」 を疑問視し、もっと良いやり方はないかと行動を起こし、模索するところから始まるのではないでしょうか。

【イノベーションを起こすために必要なのは、トップ層の断固とした意志】

Inspire 3ここで重要なのは、前述したような変革を可能にしたのは決して 「特殊」 なソフトウェアやソリューションではなく、Office 365 をはじめとする Microsoft Azure から一般的に提供されている製品群であるということです。

これは、既に市場に出回っている製品だけでも、正しく使うことができさえすれば、現状変革のための一歩を踏み出すことができるということを意味します。

また、これらの多くの製品は、既に多くの企業・組織で使用されている SharePoint Online をはじめとするツールと連動して使用することができるため、従来型の移行とは異なり、エンド ユーザーに大きな負担をかけることなく新しいプラットフォームやツールを使用開始することが可能になってきています。

しかし、ここで覚えておきたいのは、このような大きなチャンスも、組織を動かすトップ層の決断と 「やる気」 がなければ掴むことができないということです。

いくらイノベーションを推進したくても、トップ層が旧態依然とした意思決定の方法にしがみつき、例えば紙ベースでの業務遂行に固執していれば、情報は引き続きサイロ化し、あるいは拡散していってしまいます。これでは、AI の活用に必要となるデータがきわめて少なくなってしまうか、あるいは正確さを欠き、良い結果を生むことはできないでしょう。TCO の最大化もこれでは達成できません。

あるいは実際に現場に出ているミドル マネジメント層の先頭に立って変革を体現することができなければ、全て机上の空論に終わってしまうでしょう。

shipAzure が提供するテクノロジーに下支えされて、イノベーションの黄金時代はすでに始まっています。しかし、そのメリットを得るためにはワークスタイル変革、そしてそれを後押しする経営陣・トップ層の強い意志が必要です。

世界初の 「スマート国家」 となることを国家戦略として打ち出し、AvePoint をはじめとする Microsoft パートナー IT 企業のソリューションを最大限に活用するシンガポールのように、積極的に変革を追い求めることが求められています。

時代の流れを的確に読んでチャンスを掴むのか、それとも旧制度に固執して時代に取り残されるのか。経営陣の決断がいよいよ強く問われる時代であるといえそうです。