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【ゲストブログ】SharePoint Online の導入・展開にうまくいかない企業の共通点~失敗しないために押さえておきたい4つのポイント~

2015年12月15日
By: 溝端 二三雄

クリエ・イルミネートの溝端です。これまで、20 数年間 SharePoint 業界に関わってきておりまして、100 社以上の SharePoint 導入を支援してきました。その中で、「SharePoint を導入して数年経つのにエンド ユーザーに使われていない。展開をやり直したい」 など、深刻なお悩みを抱えている企業様を支援する機会が多くありました。

SharePoint 導入・展開の成功パターンというのは多種多様ですが、実は、SharePoint の導入・展開で失敗しやすいポイントというのは共通しています。先月、AvePoint Japan と共同で、Office 365 – SharePoint Online の導入・展開時に組織が陥りやすい失敗ポイントと回避策について解説するセミナーを開催しました (セミナーの詳細はこちら )。今回はその内容の一部をお届けします。

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本記事では、2015 年 11 月 20 日に AvePoint と共同で開催したセミナーの内容の一部を紹介します。


SharePoint Online 導入・構築フェーズでよくある失敗: 機能の絞り込みができていない

オンプレミスの SharePoint には実に 400 以上の標準機能が搭載されていることをご存じでしょうか?
SharePoint 導入の最大の失敗ポイントは、多すぎる機能を絞り込まずに、そのまま全ての機能を全社に展開してしまうことにあります。その結果、多すぎる機能にエンド ユーザー側が混乱して使われなくなるなどの事態を招き、必ずと言っていいほど SharePoint の導入が失敗することになります。

こうした事態を避けるために、最も重要なのが、導入前の要件定義段階において、機能を絞り込むことです。具体的には、「ユーザーの要望」 および 「既存システムの機能」 が Office 365 – SharePoint Online の標準機能で実現できるか?実現できない箇所はどこなのか?を評価することが必要になります。いわゆる Fit & Gap の洗い出しですね。Fit する部分は導入後に利用する機能になりますし、Gap が生じている箇所については、SharePoint の別のどの機能で置き換えることができるのかを検討します。


一般企業ユーザーが、SharePoint の機能をすべて理解するのは無理

Fit & Gap を実施するには、当然ながら、ある程度 SharePoint Online の機能を理解している必要があります。しかし、オンプレミスでは 400 以上の機能があり、ましてや Office 365 ともなれば、頻繁に機能のアップデートがかかる状況で、一般企業ユーザーが全ての SharePoint 機能の概要を把握し、自社の業務要件に照らして、SharePoint Online 機能の要不要を自社だけで判断することができるでしょうか?土台無理な話です。
このような場合に、私が推奨しているのは、SharePoint の機能に精通している、外部のコンサルティング企業に協力してもらい、彼らのノウハウを活用して、機能を絞り込みすることです。


SharePoint 導入プロジェクトの失敗・成功を左右する要件定義

要件定義は全プロジェクトの中で最も重要です。要件定義をないがしろにすると、後続のフェーズで様々な問題を呼び込むことになります。例えば、SharePoint の導入プロジェクトでは、「フェーズ1:導入・構築」「フェーズ2:展開」「フェーズ3:運用」の 3 つに分かれますが、各フェーズでは様々な設定や管理が必要になります。
もう一つの失敗ポイントは、各フェーズで 「誰が何をやるべきか」 といった全体計画を策定することなく、プロジェクトを進めてしまうことです。その結果、役割を担う人材が不足してしまいます。

こうした事態を避けるために、要件定義の段階で全体計画を策定して、リソースの不足が予想される部分については対策を立てるようにしましょう。SharePoint Online を導入する場合は、全プロジェクト期間の 80 % を要件定義に充てることを私は推奨しています。例えばプロジェクト期間が 6 か月ならば、5 か月間は要件定義に使うといった具合です。


SharePoint Online をエンド ユーザー 側の抵抗なく使ってもらうためには?

要件定義段階での機能の絞り込みに加え、展開のアプローチも重要です。SharePoint の機能を絞り込んだら、展開する方針を考えましょう。エンド ユーザー側の抵抗なくスムーズに導入を進めていくにはどうすれば良いでしょうか。私は以下の2パターンをお勧めしています。

  • 単機能×全社導入・・・単機能あるいはわずかな機能に絞って全社展開し、エンド ユーザーに慣れてもらった後で、段階的にリリースする機能を増やしていくというアプローチ
  • 多機能×単部門導入・・・ファイル共有・お知らせ掲示板・申請フォームなど、業務に関わる SharePoint の豊富な機能を、総務部や経営企画部など一つの部門で展開して社内事例化した後で、全社に展開していくというアプローチ


Notes から SharePoint Online にリプレースする場合

Notes から SharePoint Online に切り替える場合も注意が必要です。Notes をやめて、いきなり SharePoint Online へ切り替えると、エンド ユーザー側に混乱を招き、失敗するリスクが高まります。当然ながら、Notes の操作感を SharePoint Online で実現するのは不可能です。エンド ユーザーは頭では何となくわかっていても、「Notes の掲示板と同じように、お知らせに既読・未読機能をつけてほしい」 など、「Notes と一緒にしてくれ」 という要望が寄せがちです。

SharePoint の標準機能でユーザーの要望を満たせない場合、一般的には自社開発・カスタマイズという方法がありますが、予告なく頻繁に更新がかかる SharePoint Online では、あまりお勧めできません。

ではどのような回避策が有効でしょうか?私のお勧めは、Notes のリプレースを実施する前に、全社員が目にするような SharePoint の単機能を全社展開して 1 年ほど利用してもらうことです。保養所の利用申請フォームや休日出勤の申請フォームなど単純なもので良いです。

エンド ユーザーは悪気があって、「Notes と一緒にしてれ」 と無理難題を情シス部門に突き付けているわけではありません。単純に SharePoint のことをよく分かっていないからなのです。SharePoint のことが分かってくれば、エンド ユーザーの要望もある程度はまともに近づいてくるはずです。


まとめ

簡単ではありますが、まとめると以下のようになります。

  • SharePoint/SharePoint Online 導入が失敗する最大の要因は、多数ある SharePoint 機能の絞り込みを行わず、全機能を全社展開してしまうからである
  • 要件定義が、SharePoint Online 導入プロジェクトの成功・失敗を左右する。全プロジェクト期間の 80 % を要件定義に充てるのが望ましい
  • 400 以上ある機能の中から、自社だけで Fit & Gap を実施し、機能の絞り込みを行うのは難しい。外部のコンサル企業の協力を得るのもアリ
  •  エンド ユーザーの抵抗なく導入を進めるために、単機能×全社展開、多機能×単部門展開のアプローチがお勧め
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株式会社クリエ・イルミネート 代表取締役 溝端 二三雄
マイクロソフト製品・技術のトレーニングを中心とした技術提供サービスを行う企業の代表を務める。1995 年から MCT (マイクロソフト認定トレーナー) として、マイクロソフト社の製品・技術のトレーニングを行う。MVP‐SharePoint Server、MCSE (マイクロソフト認定システムエンジニア)、MCSD (マイクロソフト認定ソリューションデベロッパー)、MCDBA (マイクロソフト認定データベースアドミニストレーター)、MCT (マイクロソフト認定トレーナー)。著書に、「Excel 2007 と SharePoint Server 2007 によるデータ連携」(「Excel 2007 と SharePoint Server 2007 によるデータ連携」) などがある。
会社ウェブサイト: http://www.crie-illuminate.jp/

 

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