Avatar

【イベントレポート】イノベーションを起こすために考えるべき 3 つのキーワード: 2015 年ワークスタイルEXPO の シスコシステムズ・NTT データのキーノートから

By: AvePoint

 

【2015 年ワークスタイル変革 EXPO 特別講演から】

7月8日から10日まで東京ビッグサイトで開催された 「ワークスタイル変革EXPO」。日本マイクロソフトの樋口氏の講演内容は 先日速報でお伝えしました が、他にも シスコシステムズ合同会社 (以下シスコシステムズ)、株式会社エヌ・ティ・ティ・データ (以下 NTTデータ) など、グローバル レベルで躍進している各企業の代表が、自社の取り組みや特色についての特別講演を展開しました。 今回のエントリーでは、シスコシステムズから鈴木和洋・専務執行役員、NTT データから椎名雅典・代表取締役副社長執行役員の講演内容から、イノベーションのために各社が共通して重要視しているキーワードをピックアップし、印象深かった点をまとめてみたいと思います。

【1.創造 – 「まだ、ここにないもの」 をつくる】

「50 年前に Fortune 500 入りしていた企業のうち、2015 年も変わらずランクインしている企業はわずか19 %のみ、その 19 % も 50 年前と同一の事業内容を展開している企業はほぼ皆無」 – シスコシステムズを代表して登壇された鈴木氏が講演の最初に紹介された、少々ショッキングともいえるデータです。これは、「平均レベル」、つまり現状維持をずっと繰り返していては、企業が生き残ることは大変困難であるということを意味する、と鈴木氏は語ります。

また、NTT データの椎名氏も、「既存のものを効率よく作る」 ことを 「1-100」、「まだ存在しない新しいものを創造する」 ことを 「0-1」 とする考え方に触れ、「タテ社会的特性をもつ日本の企業は 1-100 を得意としてきたが、感性主導にシフトしつつある市場・社会では、『安く高品質なだけ』 ではもう売れない」 と警鐘を鳴らし、これからは 「0-1」 型の取り組みが重要になってくると説きます。椎名氏はさらに、日本など、「同じ枠の中で一緒に過ごす時間」 を重視する文化の中で育つ組織には求心力・結束力があるものの、反対に外部との壁が厚く、革新的な考え方が育ちづらい傾向があると指摘します。

イノベーション

【2.企業風土 – 多様性と柔軟性の高い労働環境をつくる】

では、企業が 「まだ、ここにないもの/サービス」 を創造するためには何が必要なのでしょうか。2 社が共通して重視しているのが、「イノベーションが活きる企業風土の醸成」 です。

NTT データの椎名氏の講演では、まず 「エンゲージメント」 の概念が紹介されました。自分の従事する仕事に関連するポジティブで充実した精神状態を指す 「エンゲージメント」 の高い従業員は、その企業に長くとどまり、熱心に仕事をする傾向が高くなるといいます。しかし、アジア諸国のうち、日本のエンゲージメントは最下位。エンゲージメントの向上のため、また前述の 「まだ、ここにない」 ものを作り出すことができる環境のため、NTT データでは 「多様な人材を活かす」 ことを目標に、「働き方変革」 に乗り出しました。

まず NTT データでは、オフィスに設置してあるデスクから引き出しをなくし、代わりにロッカーを設置することにより、どこのオフィスでも同じように働くことができるオフィスをつくりました。また、約 3 万の ID をシンクライアント化したことにより、自宅や取引先からでも困難なく働くことが可能になりました。これにより、育休や介護休暇中・時短勤務中の社員の働き方の柔軟性が向上したのはもちろんのこと、これまで通勤等がネックとなっていた障がい者ワーカーの雇用も促進され、現在では 63 名が Web アクセシビリティ診断などの業務に従事しているそうです。これらの変革により、金融・サービス業・エネルギー等の業種での新ビジネス モデル創出に貢献できた、と椎名氏は強調します。

シスコシステムズの鈴木氏も、「従業員に、自分に合った働き方を選んでもらう」 を目標としてテレワークを導入したところ、育児休暇を取得した社員の復職率がほぼ 100% になったほか、生産性と仕事に対する満足度がどちらも向上し、ストレスも軽減されるという結果が出たと語ります。実際にリモートワークを実践した育児中の社員からは、「仕事内容に応じて勤務場所を変えることができるため、自分のパフォーマンスを最大化する働き方や仕事場所を選択できる」 ことに対する満足感が表明されているそうです。

【3.コラボレーション – メンバーの力を最大限に引き出す環境をつくる】

シスコシステムズ・NTT データの2社とも、グローバルに展開している大企業です。海外拠点や本社・支社、そして社外とのスムーズな連携・さらには新しいビジネス領域の創造のため、両社が重視しているのがコラボレーションです。

コラボレーション

「働く環境が変われば制度が変わり、風土が変わっていく」 と強調するNTT データの椎名氏は、”Sustainnovative” (Sustain = 持続 + Innovative=創造的) をキーワードに、イノベーションを持続させることの重要さを強調します。NTT データでは、創立記念日の 1 週間を ”Values Week” と名付け、同社が重視する 「Client First」「Foresight」「Teamwork」 の3 つの価値=バリューについて、20 か国で勤務する社員がそれぞれ意見交換・議論をする機会を設けられました。この試みにより、遠隔地で働いている同僚との意識合わせの機会が生まれ、コミュニケーションが深まったと椎名氏は語ります。

加えて、椎名氏は 「1 社だけで達成できるイノベーションには限界がある」 とし、企業の枠を超えて新しいサービスや製品を創造する・新たな市場を開拓するという 「オープンイノベーション」 の重要性についても強調します。多様な人材・異業種が出会い、コラボレーションすることにより、従来では出てこなかった発想が生まれ、新領域が開拓されることが期待されています。

一方、シスコシステムズの鈴木氏は、「もともとアメリカ西海岸で誕生した若い企業であるシスコシステムズは、トップダウンではなく、横のつながりの強い企業」 と語りつつも、自分の担当領域ばかり見ていては、「自分が」「いま」 作っているものに対する改善策を考えることはできても、別部門のメンバーや社外と協力して革新的な新しいものを作り出すことは難しいとし、イノベーションにおけるコラボレーション・部門を超えた協力の重要性を力説します。

加えて、他部署への協力がきちんと認識される仕組みづくりも欠かせません。シスコシステムズには、他部署・他グループから協力を受けた際、協力してくれたメンバーに対し 30~50 米ドル程度の 「ボーナス」 を支払って感謝を表明することのできるユニークなシステムがあり、社員に好評であるとか。

しかし、いくら素晴らしいツールを導入しようとも、使用する側の意識が変わらなければ意味がありません。鈴木氏は、「ツールは導入すれば終わりではなく、導入後の定着のための時間・コスト、また、どれほどの効果が出ているのかの測定の仕組みも考える必要がある」 ことを指摘します。また、導入の前に現状把握のための意識調査を行い、日常業務を遂行する中間管理職をターゲットに意識変革を働きかけ、全社的な意識変革に経営者が率先して取り組むことの重要性も強調されていました。

【おわりに】

「コラボレーションをカタチにする」 を合言葉にソリューションを提供している AvePoint としては、2社ともがコラボレーションの重要性を認識していることが非常にうれしく感じられました。講演でも触れられていたように、変化する社会にあわせ、今後ますますワークスタイルが多様化・柔軟化してくることが考えられます。

しかし、便利になれば、それだけ危険性も上昇するもの。安心してコラボレーションを実践していただくために、例えば Yammer への個人情報・機密情報書き込みを阻止できる Compliance Guardian や、ユーザーの要求範囲をあらかじめ制御できる Governance Automation など、イノベーションを進める企業・団体が安心して業務を遂行できるようサポートするツールを、AvePoint はこれからも提供していきたいと思っています。