Copilot と ChatGPT は、どちらも高性能の生成 AI を搭載したチャットツールです。毎日のビジネス活動にとり入れれば、ルーチンワークの効率化や企画のアイディア出しなどさまざまなシーンで活躍します。
一方で、「そもそもどちらを選べばよいのか分からない」「自分たちの業務に本当に合うのはどちらなのか判断できない」と悩む方も少なくありません。
本記事では、Copilot と ChatGPT の違いを特徴や料金体系など比較しながら解説します。AI ツールを活用し企業の生産性を高めたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてくださいね。
Microsoft Copilot とは
Microsoft Copilot (マイクロソフトコパイロット)とは、Microsoft が開発した AI で検索エンジン「Bing」に組み込まれていた「Bing Chat」の新名称です。検索エンジンに AI 機能をプラスしただけでなく、生成 AI を使って Microsoft 製品をアシスタントします。
Microsoft Copilot の特徴は、Microsoft 365製品との連携にあります。ビジネスパーソンにとって使用頻度の高い Word や Excel、PowerPoint と連携し、資料や文書作成が可能です。Teams 会議の内容を自動で議事録にまとめたり、作成したレポートの誤字脱字チェックも行います。これまで数時間かかっていた作業が大幅に軽減し、生産性の向上が期待できるツールです。Microsoft製品やWindowsなどの操作文脈を取り込み業務を支援してくれることも大きなメリットです。
Word・Excel・PowerPointなどの企業のEntra IDでサインインした場合、入力データは学習に使用されず、Microsoft 365のサービス境界内で処理されるため、機密情報を扱う企業でも安心して利用できます。
Copilot は Windows に組み込まれている機能で、Windows 10、11 の環境があれば無料で利用できます。有料版も提供されており、個人・法人で契約できるプランが異なります。
※2025 年 9 月現在
ChatGPT とは
ChatGPT (チャットジーピーティー)は OpenAI が開発した AI です。2022 年 12 月に発表されると瞬時に話題になり、生成 AI の先駆けとなりました。使い方はシンプルで、質問と回答を「対話形式」でやり取りし、やりたいことや知りたいことを入力すれば、チャット形式で答えが返ってくる、という仕組みです。
たとえば、何か調べ物をしたいとき、従来の検索エンジンでは「ChatGPT 使い方」と単語で質問していましたが、ChatGPT の場合は「ChatGPT はどうやって使いますか」のように自然言語で質問し、回答も自然な言葉で返します。
情報の検索だけでなく「20 代女性が好むランチのメニューを教えて」「新企画の案を 5 つ考えて」というようなアイデア出しも可能です。SNS の投稿や YouTube の台本を考えてもらうなど、創作的なテキストの作成もできます。
さらに近年では動画や画像の生成にも対応したGPT-5が登場し、資料用の図解やプロモーション画像の作成など、より幅広い活用が可能になっています。
個人・法人プランの区別はなく、アカウントを作成すれば誰でも利用可能です。有料版と無料版の2種類を提供しており、有料版は混み合っていても優先的にアクセスできるなどの違いがあります。
※2025 年 9 月現在
Microsoft Copilot と ChatGPT のおもな仕様
Microsoft Copilot と ChatGPT のおもな仕様の違いを、以下の表にまとめました。
| Microsoft Copilot | ChatGPT | |
| 運営会社 | Microsoft | OpenAI |
| チャットの文字数制限 | 無料版:最大 2,000 〜 4,000 文字有料版:最大 18,000 文字 | 無料版:最大 2,048 文字有料版:最大 4,096 文字 |
| メッセージの使用回数 | 3 時間に 50 回まで1 件のチャットにつき 30 回まで | 無料版:1 分あたり 60 回、1 日 4,000 回まで有料版:1 分あたり 600 回、1 日 100,000 回まで |
| 取得できる情報の新しさ | 最新情報 | 4o:2024 年 6 月5:非公開ChatGPT Search:最新情報 |
| プラグインの使用 | Copilot Studio を用いたプラグイン作成が可能 | 不可(同等機能として GPTs を提供) |
| 利用環境(ブラウザ、アプリなど) | ブラウザ、アプリ | ブラウザ、アプリ |
| 料金体系 | 無料版と有料版を提供 | 無料版と有料版を提供 |
| 機能 | ・テキストのやりとり・画像や動画の認識・画像や動画の生成・Microsoft365 との連携 など | ・テキストのやりとり・画像や動画の認識・画像や動画の生成・コーディング(Codex) など |
| セキュリティ | 企業のセキュリティ基準に準拠 | 入力内容が学習に使用される(オプトアウト設定は可能) |
| 最新情報への対応速度 | 常に最新の情報を取得できる | モデルの更新時 |
料金や機能などに関する詳細は以降で改めて紹介しているので、そちらも参考にしてください。
Microsoft Copilot と ChatGPT の料金体系
Copilot と ChatGPT は、いずれも無料プランと有料プランが提供されています。ここでは、それぞれの料金体系について詳しく見ていきましょう。
Microsoft Copilot の料金体系
Microsoft Copilot は、次の 3 つの料金プランが用意されています。
| プラン | 料金 | おもな機能 |
| 無料プラン | 0 円 | ・最新情報の反映・複数デバイスでの使用 |
| Copilot Pro | 3,200 円/月 | ・最新情報の反映・複数デバイスでの使用・ピーク時の優先アクセス・Microsoft 365 アプリでの使用 など |
| Microsoft 365 Copilot | 4,497 円〜/月 | ・Microsoft 365 アプリでの使用・Copilot Studio を使用したエージェント作成・エンタープライズレベルのセキュリティ など |
企業が導入する場合は、エンタープライズレベルのセキュリティやプライバシーを考慮した Microsoft 365 Copilot がおすすめです。
一方、個人利用であれば、無料プランや Copilot Pro が選択肢になります。
ChatGPT の料金体系
ChatGPT は、次の 4 つの料金プランが用意されています。
| プラン | 料金 | おもな機能 |
| 無料プラン | 0 円 | ・検索によるリアルタイムデータの反映・ファイルアップロード など |
| ChatGPT Plus | 20 ドル/月 | ・無料版の全機能・メッセージやファイルアップロードなどの制限の拡大・ChatGPT エージェントへのアクセス など |
| ChatGPT Pro | 200ドル/月 | ・Plus の全機能・GPT-5 への無制限アクセス・より難しい質問への最適な回答 など |
| ChatGPT Business | 25 ドル〜/月 | ・無制限の GPT-5 メッセージ・安全な専用ワークスペース・データ暗号化・デフォルトで学習から除外 など |
ChatGPT は無料でも十分に使えますが、制限拡大や最新モデルを重視するなら Plus や Pro も選択肢に入ります。法人利用では、安全なワークスペースが提供される Business がおすすめです。
Microsoft Copilot と ChatGPT、機能面では何が違う?
ここでは、Microsoft Copilot と ChatGPT の機能面について見ていきましょう。まず、両者に共通する機能としては、次のようなものが挙げられます。
- チャットでの対話型のやりとり
- テキスト生成
- 画像や動画の認識
- 画像や動画の生成
- コーディング など
以降では、それぞれの独自機能や強みを紹介します。
Microsoft Copilot の機能
Microsoft Copilot ならではの機能としては、次のようなものがあります。
- Word、Excel、PowerPoint など Microsoft 製品との連携
- エンタープライズレベルのセキュリティ
Microsoft Copilot の大きな特徴は、Word や Excel、PowerPoint といった日常的に使う Microsoft 365 製品とシームレスに連携できる点です。さらに、エンタープライズ向けの高いセキュリティ環境が整備されており、安心してビジネス利用できます。
ChatGPT の機能
ChatGPT の特徴としては、以下が挙げられます。
- より創造的な文章の生成
- 動画生成モデル「Sora」やコーディング支援モデル「Codex」など特化型機能の提供
ChatGPT では最新の言語モデル「GPT-5」を無料版でも提供しており、より高精度で自然な対話が可能です。
さらに、動画生成モデル「Sora」やプログラミングに特化した「Codex」といった派生モデルも提供されており、映像コンテンツ制作や高度なコーディング支援といった専門的な用途にも対応できます。
Microsoft Copilot と ChatGPT にはそれぞれのメリットや強みも
Microsoft Copilot と ChatGPT には共通する機能も多くありますが、得意分野や活用シーンは異なります。ここでは Microsoft Copilot と ChatGPT、それぞれが持つ強みやメリットを見ていきましょう。
Microsoft Copilot の強み・メリット
Microsoft Copilot の強み・メリットとして、以下が挙げられます。
- 業務効率を大幅に向上できる
- 堅牢なセキュリティ体制
Copilot は Word・Excel・PowerPoint との連携によって、資料作成や分析、プレゼン準備といった業務に関わる作業を大幅に効率化できます。「この表をグラフにして」など自然言語で操作できるため、パソコン操作に苦手意識のあるユーザーでも直感的に使えるのが魅力です。
また、エンタープライズ基準のセキュリティを備えていることから、大規模組織や機密情報を扱う現場でも安心して活用できるという強みもあります。
ChatGPT の強み・メリット
ChatGPT のおもな強み・メリットは、以下の 2 点です。
- 幅広い分野で創造性を発揮できる
- 誰でも高精度な AI を利用できる
ChatGPT は文章生成や要約だけでなく、アイデア出しやコピーライティングなど、クリエイティブ分野でも力を発揮します。
さらに GPT-5 を無料版から利用できるため、個人でも手軽に高度な AI を体験できるのが大きなメリットです。ビジネスから教育、趣味の分野まで幅広く応用できる柔軟さは、ChatGPT ならではの強みといえるでしょう。
Microsoft Copilot と ChatGPT は用途で使い分けよう
ここでは、Microsoft Copilot と ChatGPT それぞれの用途と活用シーンを具体的に見ていきましょう。
Microsoft Copilot の用途
Microsoft Copilot は、次のような用途で活躍します。
- Microsoft 365 製品と連携した日常業務の効率化
- データ分析や資料作成など時間のかかる作業の自動化
たとえば、Word では報告書や契約文書を自動で作成でき、Excel では複雑なデータ分析やグラフ生成を効率的に進められます。
さらに、議事録やメール文書の下書き作成など、これまで手作業で行っていた業務の自動化によって、生産性を大きく高めることが可能です。
ChatGPT の用途
ChatGPT の活用シーンとしては、以下が挙げられます。
- 新規企画やコンテンツ制作のアイデア出し
- コーディングなど専門的な作業
たとえば、ビジネスメールの文案を複数パターン提案させたり、新商品のキャッチコピーや SNS 投稿案を考えてもらったり、より創造的な作業で活躍します。
また、動画生成モデル「Sora」やコーディング特化機能の「Codex」と組み合わせれば、より高度で専門的なクリエイティブ業務にも活用できます。
Microsoft Copilot と ChatGPT はどんな人におすすめ?
最後に、Microsoft Copilot と ChatGPT がそれぞれどんな人におすすめなのかを紹介するので、活用時の参考にしてください。
Microsoft Copilot が適している人の特徴
Excel や PowerPoint などの Microsoft 製品をよく使う人は Copilot を使用しましょう。日々の作業を効率化し、さまざまなビジネスシーンで生産性の向上が可能です。無料版でも GPT-4 を利用でき、精度の高い回答を得られます。
また、ブラウジング機能が無料で使えるので、最新の情報を調べたいときに活躍します。情報のソースも合わせて表示され、公式のレポートや報告書の作成時にファクトチェックの手間が軽減されます。
Microsoft Office ツールを進化させ、業務を効率化させたい人におすすめです。企業単位での利用やセキュリティを重視した業務環境で活用したい場合にも最適です。
また、企業のEntra IDでサインインした場合は、Microsoft 365のサービス境界内で処理され、入力データを学習に使用されません。機密情報を扱う必要があり、データガバナンスを重視する組織や、金融、医療、官公庁などのITセキュリティ基準の厳しい業界での活用にも適しています。
ChatGPT が適している人の特徴
文章の生成やアイデア出しをしたい人は ChatGPT を使用しましょう。ChatGPT は論文や動画の台本作成、あいさつ文の作成など、オリジナルの文章作成を得意としています。
Copilot より使えるメッセージの回数が多いので、回答や提案に対して「もっと具体的に」や「箇条書きにして」など、質問を重ねてより希望に合った回答を得られる点がメリットです。
また、動画生成モデル「Sora」やコーディング支援モデル「Codex」なども活用でき、クリエイティブから開発まで幅広い用途を求める人におすすめです。
AI ツールは目的や用途に合わせて選んでみて
Copilot と ChatGPT では、使用用途によってどちらが適しているか異なります。
Copilot は高性能の GPT-4 とブラウジング機能を無料で使えるので、情報収集や最新の情報を知りたいときに活用できます。報告書の作成や新しいアイデアが欲しいときなど、創作的な回答が欲しい時は ChatGPT が役に立つでしょう。
Copilot と ChatGPT どちらを選ぶかは、それぞれのメリットを活かし、利用目的に合わせて使い分けをおすすめします。どちらも無料版が提供されているので、実際に使ってみて使用感を確かめてみるとイメージをつかみやすいでしょう。
