
Teams では、部署やプロジェクトなど共通の作業を行うグループを「チーム」という単位でまとめています。このチームに参加することでメンバー同士での会話やファイル共有ができ、業務の効率化が図れます。
また、 Teams に組織外のユーザーを追加することも可能なため、外部とコラボレーションする際にも便利なツールです。
本記事では、 Teams で作成できるチームの種類や作成方法などを紹介します。Microsoft 365 を導入済みで、 Teams を業務に積極的に活用したいと考えている場合は、ぜひ参考にしてください。
Microsoft Teams における「チーム」とは?
Microsoft Teams における「チーム」とは、部署やプロジェクトなどの単位で共同作業を行うメンバーのグループのことです。
このチームへの参加は招待制になっており、 1 人が複数のチームに所属することも可能です。チーム内では、共同メンバーでの会話やファイルの共有、ビデオ会議など、業務のスムーズな遂行につながる多くの機能を利用できます。
チームとチャネルの違い
Teams の構造は階層化されています。テナントという大きな外枠の中に複数のチームがあり、各チームの中に必要なチャネルがある構造です。
たとえば企業で使用する場合、企業全体をテナントとしてその中に部署ごとにチームを作成します。さらに各部署のチームの中に作成したプロジェクト用のチャネルで会話や作業をするといった使い方が可能です。
チームとチャネルは階層だけでなく、できることにも違いがあります。
チームは、所属や目的ごとにユーザーをまとめたグループです。おもに「パブリックチーム」「プライベートチーム」「組織全体のチーム」の 3 種類があり、ユーザーは複数のチームに所属して情報共有や会議などのやり取りに参加することが可能です。
テナント作成時にチームが 1 つ作成され組織全体の連絡用に使用できます。さらに特定のメンバーごとに情報を共有したい場合は、新たにチームを作成します。
チャネルは、話題や目的ごとに作成するチーム専用の場所です。チーム内で実際に作業や会話をする場所で、「ファイル」「投稿」などの標準アプリに加えて Word や Excel などを連携することも可能です。
チームとチャネルの活用例
具体的にチームとチャネルは、次のような活用例が考えられます。
- 部署別のチーム構成:営業部、マーケティング部、人事部といった部署ごとにチームを作成し、それぞれの業務に関する情報や会議を集約する。
- トピック別のチャネル構成(営業部チーム内):商談進捗、営業資料の共有、顧客管理といった目的ごとにチャネルを分けて情報を整理する。
- プロジェクト単位のチャネル構成:期間限定のキャンペーンや製品開発プロジェクトごとにチャネルを設け、関係者が集中的にやり取りできる環境を整備する。
チームとチャネルの違いを理解し、目的に応じて使い分けることで、情報共有や業務の効率化につながります。
チームの制限事項
Teams で作成・使用できるチームやチャネルの数には制限があります。おもな機能の上限を以下の表にまとめました。
Teamsの機能 | 上限数 |
---|---|
ユーザーが作成できるチームの数 | 250 |
ユーザーがメンバーの一員になることができるチームの数 | 1,000 |
チームのメンバーの数 | 25,000 |
テナントで許可されている組織全体のチームの数 | 5 |
組織全体のチームのメンバーの数 | 10,000 |
チームごとのチャネル数 | 1,000 |
チームごとのプライベート チャネル数 | 30 |
プライベート チャネルのメンバー数 | 250 |
それぞれの上限数には条件が設けられている場合があります。たとえば「ユーザーが作成できるチーム数」には、 Microsoft Entra ID 内のすべてのディレクトリ オブジェクトの数を含みます。
また、作成できるチャネル数は削除されたチャネルを含む数字です。
Teams で作成できるチームは 3 種類
Teams で作成できるチームは、次の 3 種類です。
- プライベートチーム
- パブリックチーム
- 組織全体のチーム
部署やプロジェクトという範囲を超えたコラボレーションの必要性が高まる昨今、チームの使い分けが Teams を利用するうえで重要なポイントとなります。ここでは、 Teams で作成できるチームごとの詳しい特徴について見ていきましょう。
1.招待されたメンバーだけが参加できる「プライベートチーム」
プライベートチームは、チーム所有者が招待したメンバーのみが参加できます。プライベートチームは参加しているメンバー以外には表示されず、プライバシー設定によっては検索することもできません。
プライベートチームには、以下のいずれかの方法で参加できます。
- 招待メールに記載された URL から参加する
- チーム所有者が発行したコードを入力する
- メンバーがチーム所有者に追加をリクエストする
- 検索可能なチームに承認をリクエストする
プライベートチームは、特定のメンバーに参加を限定することで情報漏えいや不正アクセスを防げるメリットがあります。また、チームの規模を小さくすることで、必要な情報だけを効率よく共有することが可能です。
2.誰でも自由に参加できる「パブリックチーム」
パブリックチームは、組織のメンバーであれば誰でも自由に参加できるのが特徴です。チーム所有者へ承認を依頼する必要もありません。参加は以下の手順で行います。
- チームメニューの下の「チームに参加、またはチームを作成」をクリックする
- チームの一覧から、参加したいパブリックチームを選択する(右上の「チームを検索」でチーム名やキーワードを検索することも可能)
- 参加したいチームの「チームに参加」をクリックする
パブリックチームは、所属にとらわれず広い範囲のメンバーと情報共有するのに向いています。そのため、機密性の高い情報のやり取りには十分注意しましょう。
また、パブリックチームは後からプライベートチームへ変更することも可能です。変更はチーム名の右側にある「…」をクリックし、「チームの編集」で行えます。
3.全社メンバーが自動でが追加される「組織全体のチーム」
組織全体のチームでは、アクティブな全ユーザーがメンバーとして追加されます。社内の全員で共有したい連絡に向いているチームの種類です。
パブリックチームと混同しがちですが、メンバーを追加するタイミングが異なります。パブリックチームは全メンバーがいつでも自由に参加が可能です。
これに対して組織全体のチームでは、チームが作成されたタイミングで自動で全メンバーが追加されます。メンバー数が 10,000 人以下の場合に使用でき、最大 5 つの組織全体チームが作成できます。
また、基本的にユーザーは組織全体のチームから抜けることができません。ただし、チーム所有者がユーザーを追加・削除することは可能です。
Teams における各チームの作成方法
ここでは、 Teams におけるチームの作成方法を「プライベートチーム」と「パブリックチームと組織全体のチーム」の 2 つに分けて紹介します。いずれの方法も、操作はそれほど難しくありません。
ただし、前述したチームの種類がもつ特徴を理解していないと、本来参加してほしかったメンバーが含まれていなかったり、参加させたくないメンバーが含まれてしまったりといった事態にもなりかねません。各チームの作成方法について確認し、慎重に進めましょう。
プライベートチームの作成方法
プライベートチームの作成方法は次のとおりです。
- 「 Teams 」のアイコンを選択
- チーム リストの下部にある「チーム参加」または「チームの作成」を選択
- 「チームの作成」カードにカーソルを合わせ、チームの「参加」または「作成する 」を選択
- 「ゼロから」を選択
- 「プライベート」を選択
- チームの名前を入力
- 完了したならば「作成」を選択
ここで設定する初期メンバー以外にも、後からメンバーの追加が可能です。また、追加するメンバーに対して「所有者の権限」も付与できます。
パブリックチームと組織全体のチームの作成方法
パブリックと組織全体のチーム作成方法も、プライベートチームと基本的には同じです。
上記の画面で「公開」もしくは「組織全体」を選択し、チーム名と説明を入れて「作成」を押せば完了します。
メンバーを追加したいとき、パブリックチームの場合はメンバーからの参加依頼を待つか、必要に応じてメンバーを追加するだけです。一方、組織全体のチームの場合はチームを作成した時点で全ユーザーが追加されているため、メンバー追加の作業は不要です。
Teams のチーム管理における便利な機能
部署やプロジェクトの数が多い場合、チームの作成・管理を効率よく行いたいと考える場合は多いでしょう。
Teams には、テンプレートやタグなどチーム管理に便利な機能が用意されています。目的別に用意されたテンプレートには必要な機能が揃っているため、迷わずにチームを作成できます。
また、タグはメンバーを紐づけしておくと、メッセージ送信のたびにメンバーを選択する手間が減らせる便利な機能です。
ここでは、このテンプレートやタグの作成方法を紹介します。
テンプレートからチームを作成する
テンプレートには目的に合わせたチャネルやアプリがセットされています。チャネルやアプリは、チームの作成後にいつでもカスタマイズが可能です。
- チーム画面メニューの「+」から「チームを作成」を選択する
- 「チームの作成」画面で「その他のチーム作成オプション」をクリックする
- メニューから「任意のスタイル」を選択し、目的に合うテンプレートを選択する
- テンプレートにセットされているチャネルやアプリの一覧を確認して「このテンプレートを使用する」とクリックする。
- 「チーム名」の入力、チームの種類の選択をして「作成」をクリックする
また、 Microsoft365 の管理者がオリジナルのテンプレートを作成することも可能です。
タグを活用する
チーム内のメンバーを、役割ごとにタグで紐づけしておくと、特定のメンバーだけにメッセージの一括送信ができます。
タグの作り方は以下のとおりです。
- チーム一覧からチーム名の右端にある「…」をクリックする
- 「タグを管理」を選択し、「タグを作成」をクリックする
- 「タグ名」「タグの説明」を入力し、タグで紐づけたいユーザーを選択する
- 「作成」ボタンをクリックする
タグを使ってメッセージを送信したい場合は、チームのチャット欄で「@+タグ名」を指定します。
タグは作成したチーム内でのみ有効です。別のチームで使用する場合はチームごとに設定が必要です。
Teams のチーム作成で注意するべき 4つのポイント
Teams における各チームの作成方法について理解できたところで、次は作成時のポイントを紹介します。チーム作成で注意するべきポイントは、次の 4 つです。
- 一部のメンバーはチームを作成できない場合がある
- チームの種類によって公開範囲が異なる
- 管理者の知らないチームが作成される可能性がある
- ガバナンスと外部アクセスのルールを徹底する
いずれも、チームの所有者になる方が認識しておくべきポイントばかりです。ここでは、ポイントごとの詳しい内容を見ていきましょう。
1.一部のメンバーはチームを作成できない場合がある
Teams におけるチームは、基本的に誰でも作成できます。ただし、設定次第ではチームを作成できないケースがあるのです。
まず、組織全体の管理者がチームを作成できないように制限していると、メンバーによるチーム作成ができません。この場合は管理者に確認し、制限を解除してもらう必要があります。
また、 Teams には「ブラウザ版」、「デスクトップ版」、「スマホ版」といった仕様があり、デスクトップ版で「開発者プレビュー」がオンになっているとチームを作成できない可能性もあるため注意が必要です。
2.チームの種類によって公開範囲が異なる
チームの種類によって公開範囲が異なるのは前述したとおりです。「パブリックチーム」や「パブリックチーム」の場合、チーム内に所属するメンバーに対してのみファイルやデータなどが公開されます。
一方で「組織全体のチーム」の場合、組織内の全ユーザーにファイルやデータなどが公開されてしまうのです。全体に公開してはならないファイルやデータなどが流出する可能性もあるため、作成時は十分に注意しましょう。
3.管理者の知らないチームが作成される可能性がある
初期設定では Microsoft Teams のライセンスを持つすべてのユーザーが自由にチームを作成できます。ただし、誰でも作成できるということは、管理者の知らないチームが続々と作られていく可能性もあり、管理者の観点では見過ごせない事象といえるでしょう。
しかし、 Office 365 の「管理センター」を利用すれば、チームの一覧を管理者側で確認できます。適宜作成の状況を確認し、不要なチームの乱立を防ぎましょう。
4.ガバナンスと外部アクセスのルールを徹底する
Teams は自由度が高くチームやチャネルを必要に応じて簡単に増やせるのがメリットです。
しかし、作成数が増えるとチーム名やチャネル名が重複したり、使用が終了したチャネルが放置されたりする問題が発生するおそれがあります。そのため、命名規則を設け、ファイルの終了期間を設定するなど、ガバナンスを徹底することが必要です。
また、組織外のゲストユーザーを追加してチームやチャネル内のドキュメントを共有したり、会議を行ったりして業務を円滑に行えます。一方で外部ユーザーのアクセスは、情報漏えいや不正アクセスに繋がりかねません。
チームのすべてのユーザーにゲストユーザーの追加権限を付与するのではなく、外部とのやり取りが多いチームに限定して権限を与えるなど、注意が必要です。
Teams のチームは使い分けが重要!
ビジネスの課題が複雑化している現代において柔軟に対応するには、縦割りではなく横断型の組織が欠かせません。そこで、おすすめするのが Microsoft Teams の「チーム」を利用したコミュニケーションです。
Teams で作成できる「プライベート」や「パブリック」、「組織全体」の 3 種類のチームを上手く使い分けることで、メンバーを限定した共同作業や全体連絡などが円滑に進みます。ただし「公開範囲」や「チームの乱立」など、管理者にとって注意すべき点があるのも事実です。
まずは今回紹介した内容を参考に、自社に合うチームの運用方法を確立してみてください。