
この事例のポイント
- エンジニアの検証目的や部門の業務効率化にMicrosoft Power Platform(以下、Power Platform) を全社で活用する一方、管理に課題
- AvePoint EnPower 導入後、Power Platform の利用促進と、ガバナンス強化を両立。月間30時間相当の業務効率化効果も
- 今後はエージェント管理など、さらなる活用も視野に
マイクロソフト製品に強みを持つ独立系クラウドインテグレーター 「日本ビジネスシステムズ」

日本ビジネスシステムズ株式会社(以下、JBS) は、1990 年設立の独立系クラウドインテグレーターです。「優れたテクノロジーを、親しみやすく」という企業理念のもと、国内大手企業を主要顧客としてDX 支援などに注力しています。2022 年8 月には東証スタンダード市場に、2025 年9 月にはプライム市場に上場しました。
特にマイクロソフトパートナーとしての豊富な知見・技術と実績が強みで、Microsoft Partner of the Year を12 年連続で受賞。ライセンス販売、導入から保守、運用、まで網羅的なサービスを提供しています。
マイクロソフトパートナーとしてPower Platform を積極利用、しかし”管理の壁” が
JBS では、Power Platform を前身製品の時代から積極的に活用。全社員にライセンスを付与し、機能制限もせずに開放していました。現在では、アプリとフローの作成者はのべ2,000 人以上に上り、5,000 以上のアプリ、2 万近くのフローが社内で作成されています。
一方で、明確な運用ルールがなく、ルールの策定や管理が課題となっていました。当時の状況について、コーポレート戦略本部 情報システム部 IT インキュベーション課長の中込 大輔 氏は以下のように説明します。
「運用ルールがなく、ライセンスを持っている全てのユーザーがアプリやフローを作成・利用できる状態だったため、管理者・利用者がわからない『野良アプリ』が増加していました。利用が拡大するにつれ、セキュリティリスクを避けるためにアプリやフローの利用状況を把握し、適切なアクセス権限で運用すべきだという危機意識を持ち始めました」
運用ルールの策定や管理の必要性を感じていた中で、同社はAvePoint との会話をきっかけに「EnPower」というPower Platform 管理ツールの存在を把握。導入に向けた検討を開始しました。
EnPowerの機能面に加え、慣れ親しんだAvePoint製品であることも採用を後押し
AvePoint からEnPower について説明を受けた中込氏は、「アプリやフローの棚卸業務が自動化できる」「テナント全体のアプリやフローの利用状況を横断的に確認できるダッシュボードが用意されている」といった点を評価。業務要件に合致する製品がほかになかったことや、すでにTeams やSharePointの管理でAvePoint のCloud Governance を利用していたこともEnPower の採用を後押ししました。中込氏は以下のように付け加えます。
「チームやサイトの棚卸ですでにAvePoint 製品を利用していたので、PowerPlatform の棚卸でも慣れ親しんだユーザビリティを実現できるという点はメリットだと感じました。利用開始にあたっての設定も簡単でした」
導入決定後、約2 ヵ月で機能検証や製品に対する理解を深め、AvePoint の支援も受け、プロジェクトスタートから5 ヵ月で運用を開始しました。
利用促進とガバナンス強化を両立、問い合わせ削減と月30時間相当の業務効率化も実現
JBS では、顧客にサービスを提供するエンジニア部門が検証などで使うだけでなく、バックオフィス部門の業務効率化やチームでの勤怠管理など、幅広くPower Platform を使っており、前述のとおり多くの社員がアプリかフローを作成しています。利用が随時拡大していく中で、EnPower の導入により、アプリやフローの運用ルールを明確化し、ガバナンス強化につなげました。当時の状況について、中込氏は以下のように振り返ります。
「EnPower のダッシュボードにより、一定期間利用していない、または所有者が不明のアプリやフローを可視化できるようになりました。また、Power Platform の管理センターでは、環境を選択しないとアプリやフローを確認することができなかったのですが、EnPower 導入後は、テナント全体のアプリやフローを横断的に検索することができるようになったことも便利なポイントです。さらに、アプリやフローの棚卸を自動化できました。現在はアプリやフローが作成されてから180 日ごとに棚卸をする設定にしています。手動で棚卸をした場合、月30 時間程度の作業時間がかかる想定ですので、その時間を他の重要な業務に割けるようになった効果は非常に大きいです。加えて、EnPower の導入はPower Platform ユーザーの意識改革にもつながり、ルールに則った運用が浸透したという効果もありました」

エージェントの管理を含むさらなる業務効率化に向けてAvePoint製品を活用
JBS は、今後もAvePoint 製品の活用を拡大していく方針です。中込氏は以下のように展望を語ります。
「今後社内ではCopilot Studio を活用したエージェント開発を推進していきます。ここでもEnPower は活用できると考えています。以前から利用しているCloud Governance も、社内のワークフローとも連動させてさらなる業務自動化・効率化に利用できると考えていますし、Microsoft 365 の情報漏洩対策もさらに力を入れていくべく、AvePoint からPolicies & Insights の紹介を受けているところです。より安全で効率的な運用体制を構築していきます」