Microsoft Copilot Studio は、自社オリジナルの AI アシスタントを手軽に生成できるローコードのプラットフォームです。
活用すればさまざまな業務を効率的に進められるため、導入を検討している方もいるのではないでしょうか。
たとえば、「FAQ が散在して回答に時間がかかる」「類似する問い合わせの反復対応に疲弊している」「マニュアル更新が追いつかない」「部門ごとにツールが分断されている」といった現場の課題を横断的に解決できます。
しかし、Microsoft Copilot Studio はごく最近登場した新しいサービスなので「具体的に何ができるのか」「料金はどれくらいかかるのか」と疑問に思っている方も多いかもしれません。
そこで今回は、Microsoft Copilot Studio について、基本情報や料金、メリットなどを解説します。さらに使い方や活用事例、注意点についてもまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
Microsoft Copilot とは
Microsoft Copilot は、文章作成から要約、データ分析、会議の要点抽出などまで、広範な業務を支援する AI アシスタントです。Word や Excel、PowerPoint、Outlook、Teams といったビジネスアプリケーションを包括する Microsoft 365 に組み込まれています。
一方で Microsoft Copilot Studio は、この Microsoft Copilot を拡張するためのプラットフォームであるといえます。ローコード環境で、独自のエージェントや対話フローを作成し、社内の知識・システムや外部データ/ API に接続して行動させることが可能です。
標準の Copilot が Office 業務の効率化を担い、Copilot Studio は自社要件に合わせたカスタム機能と外部連携を促進する、というように、それぞれ役割の違いがあります。
なお、2025年時点では、最新モデル GPT-4.1 が Copilot に搭載されており、応答時間の短縮など、パフォーマンスが大幅に改善されています。
さらに、UI タスク自動化や WhatsApp との連携などの新機能にも対応し、対応領域が従来より大幅に拡張されています。
Microsoft Copilot Studioとは
Microsoft Copilot Studio とは、Copilot の機能をアレンジし、オリジナルの Copilot を作成できるサービスです。
Microsoft Copilot Studio で自社オリジナルの AI アシスタントを作成すれば、より柔軟に業務効率化が期待できるでしょう。自社が保有するデータベースや人事・経理システムなどと連携することもできます。
たとえば自社の経理システムと連携すれば、予算の残額をリアルタイムで回答してくれたり、過去の支出データを分析して将来の予算計画のためのアドバイスを提供してくれたりする AI アシスタントを作ることができます。
ほかにも顧客対応のためのチャットボットや、社員への書類提出の催促など、さまざまな業務に活用できる自社オリジナルの AI アシスタントを作ることが可能です。
Microsoft Copilot Studio を導入するメリット
Microsoft Copilot Studio を導入することで得られる具体的なメリットとしては、次のようなものがあります。
- ローコードでチャットボットを作成できる
- 社内のデータを活用できる
- 外部アプリ・サービスと連携できる
以下で詳しく解説します。
ローコードでチャットボットを作成できる
ローコードとは、できる限り複雑なソースコードを書く作業を省き、GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)操作でアプリケーションを直感的かつ素早く開発する手法です。
Microsoft Copilot Studio ではローコードでチャットボットを作成できます。簡単なシステムであれば、開発の専門知識を持たない社内の人事・総務・経理などの担当者でも手軽に作成できるでしょう。
社内のデータを活用できる
Microsoft Copilot Studio では、社内に蓄積されたデータを AI に学習させることができます。たとえば社内のイベントやニュース、ポリシーなどを踏まえて、最適にカスタマイズされた回答を生成することが可能です。
また社内に蓄積されたナレッジを活用することもできるため、有効な知見をスピーディに広く共有でき、従業員のスキルアップにも役立ちます。
また、最新モデルでは「ファイルグループ機能」によりデータを用途別にグルーピングして整理できます。
さらに、組織のセキュリティポリシーに従ったセキュリティラベルを適用し、Copilot がアクセスできるファイルやデータの範囲を制御できるため、ファイル管理や情報保護の観点でも安心して活用できます。
外部アプリ・サービスと連携できる
Microsoft Copilot Studio は、外部のアプリやサービスと AI アシスタントを連携できます。既存のシステムに AI アシスタントの機能を追加できるため、より便利で高度な作業が実現できるでしょう。顧客向けのサービスとして、ニーズに合わせた機能を追加・カスタマイズすれば、顧客満足度の向上にもつながります。
さらに、Power Platform の 1,400 種以上のコネクタやカスタムコネクタ、API プラグインなどを活用することで、社内外の業務システムや REST API と双方向に連携し、データ参照だけでなく更新・処理実行まで行えます。
Microsoft製品とスムーズに連携できる
Copilot Studio は Microsoft 製品との統合も非常にスムーズです。Outlook や Teams、SharePoint などの Microsoft 365 アプリや Power Platform と自然に連携でき、既存の Microsoft 365 環境に違和感なく組み込めます。
Microsoft 製品を業務の中核に据えている企業ほど導入効果が出やすく、標準機能と豊富なコネクタの両輪で現場ニーズに合わせた拡張が可能です。
Microsoft Copilot Studio の使い方
Microsoft Copilot Studio を使用するには、組織向けの Microsoft 365 ライセンスが必要です。ブラウザから使用できるため、Windows でも Mac でも問題ありません。ここでは、無料試用版の使い方を紹介します。
なお、無料試用版は 60 日間利用でき、終了時に 30 日延長することも可能です。エージェントの作成・管理には組織のテナント ライセンスとユーザー ライセンスの準備が必要になる点も確認しておきましょう。
- Microsoft Copilot Studio の公式サイトにアクセスし「無料で試す」をクリックする
- 表示される指示にしたがって入力し、Microsoft Copilot Studio のダッシュボードにアクセスする
- ダッシュボードの中央にある「Copilot を作成する」をクリックする
- 必要な情報を入力し、右下の「作成」をクリックする
設定画面では「Copilot が話す言語」として日本語を選択できますが、日本語の場合は外部のサービスを利用した回答はできないため注意しましょう。
設定が終わると Copilot を利用準備が整いますが、この時点ではテストモードです。ここでさまざまなカスタマイズを行い、「公開」をクリックすると URL が発行されて外部からも利用できるようになります。
Microsoft Copilot Studio の料金
Copilot Studio は、定額の「Copilot クレジットパック」と「従量課金」のいずれかで利用できます。定額の場合は、1 パックあたり月額 29,985 円(1 パック=25,000 Copilot クレジット)の前払い制となっており、年払いオプションも選択可能です。クレジット分を使い切った場合は追加パックを購入します。
一方、従量課金は前払い不要で、実際に消費した Copilot クレジット分のみを月末に支払います。
いずれの方式でも、組織のテナントと適切なライセンスを用意してください。なお、従量課金制を選択する場合は、Azure サブスクリプションに関連付けられた課金ポリシーの設定が必要です。
Microsoft Copilot Studio の活用事例
Microsoft Copilot Studio は幅広い業種・場面で活用できます。ここでは、Microsoft Copilot Studio の具体的な活用事例を 4 つ紹介します。
社内コミュニケーションの効率化
Microsoft Copilot Studio は、社内のコミュニケーションを効率化する AI システムを作成できます。
たとえば次のような機能をもたせることができるため、チームメンバーとの会話や業務がスムーズになります。
- タスク管理・進捗報告
- フィードバック管理
- 社内のイベント・ニュースなどの情報共有
また、Microsoft Teams と連携するとオンライン会議の論点整理や議事録の共有などもサポートします。リモートワークでのコミュニケーションもスムーズになるでしょう。
予算管理
Microsoft Copilot Studio で作成した AI アシスタントと社内の経理システムを連携させることで、予算管理を効率化できます。
たとえば「今月の売上はどれくらい?」「部署ごとの経費はどれくらいかかっている?」といった質問に対して、リアルタイムでデータを参照して回答してもらうことが可能です。
Microsoft Copilot Studio を活用すれば、細かい数字やデータを見比べたり計算したりする手間が省けます。
効率的かつ正確に予算管理ができるので、予算の最適化にも役立つでしょう。
データ分析・ビジネス戦略の提案
Microsoft Copilot Studio はデータを分析し、将来を予測してビジネス戦略を提案してくれるシステムを作成することもできます。
たとえば自社商品・サービスの売れ行きや、参入している市場の動向などをスムーズに把握して、マーケティング活動に迅速に反映させることが可能です。
カスタマーサポート
Microsoft Copilot Studio では、顧客からの問い合わせやクレームに対応する AI システムの作成も可能です。自社の商品・サービスに寄せられた顧客の声を理解し、最適な回答や対応策を提案します。
自社オリジナルの AI アシスタントであるため、社内のナレッジや過去の事例を学習してより精度の高い回答を生成することが期待できます。これにより顧客満足度の向上にもつながるでしょう。
Microsoft Copilot Studio活用の注意点
Microsoft Copilot Studio を導入しても、準備不足ではそのポテンシャルを十分に発揮させられません。
ここでは、Microsoft Copilot Studio を活用する際の注意点を紹介します。
ライセンスに齟齬がないかを確認する
まず、対象プランに入っているかを確認します。Copilot Studio はテナント用のライセンス(クレジット パックまたは従量課金)に加えて、ユーザーに付与する「Copilot Studio ユーザー ライセンス」の購入と割り当てが必要です。購入・割り当ては Microsoft 365 管理センターで行います。
次に、Power Platform の環境が適切にセットアップされているかを確認しましょう。環境に必要な設定(Copilot Studio ソリューションのインストール、エージェント作成者ロールの付与、環境への Copilot クレジットの割り当てなど)が済んでいないと、作成・公開や課金周りでエラーが発生します。
導入前に、環境とライセンスの前提条件を管理者とともに整備しておきましょう。
導入の目的やハードルを明確にしておく
「どの業務を、どうよくするか」を具体的に検討しながらユースケースと成果指標を定めて、何のために Microsoft Copilot Studio を導入するのかを明確にします。目的があいまいなまま不要な機能を実装しても業務への活用が進まず、社内に浸透しません。
また、導入にあたって何がハードルになるかを把握しておくことも大切です。まずは小規模な PoC で効果と課題を数値で検証しましょう。その上で、経営層のコミットメントと現場リーダーの役割を明確にし、展開設計(教育・フィードバック・KPI 運用)を整えることで、Copilot Studio の真価を発揮できる運用体制を構築できます。
社内のデータを整理しておく
活用前に、参照させる社内データの正確性・一貫性・更新性とアクセス権限を整備しておきます。
誤った情報や古い情報、表記のばらつき、統一性のないデータ構造を残したままでは、精度に悪影響を与えかねません。データに不備があるとハルシネーション(AI による誤情報の生成)も誘発しやすくなり、回答の信頼性が下がります。
また、データ流出リスクを低減するために、機密度に応じた権限設計を策定し、ナレッジソースやコネクタへのアクセスを DLP(データ損失防止)ポリシーで制御することも不可欠です。
「回答が使えないから」という理由で使われなくなることがないよう、データ管理にも細心の注意を払ってください。
セキュリティ設計をしっかり行う
Copilot Studio で扱うデータが基盤モデルのトレーニングに使用されないことを Microsoft は明言しています。それでも、情報漏洩リスクを可能な限り排除するには、管理者が DLP ポリシーや接続制御を設計・適用し、データ公開や外部接続を必要最小限にすることが重要です。
Copilot Studio は Power Platform の DLP ポリシーと連携し、公開 Web や特定コネクタの許可・禁止、チャネル機能の無効化など運用ガードレールを構成できます。
機密データには「社内限定」のセキュリティラベルを付与し、管理者承認制にして利用を制限するなどの対策を行いましょう。
チャネル制限に関しては、対外発信用の専用チャネルを設け、ゲストからの Copilot 利用を禁止する運用が有効です。
機密情報の外部送信や誤公開につながらないよう、セキュリティ設計に不備がないか入念に確認してください。
Microsoft Copilot Studio でオリジナルの AI アシスタントを作成しよう
Microsoft Copilot Studio は、ビジネスに役立つ自社オリジナルの AI アシスタントを手軽に生成できるプラットフォームです。自社データの活用や外部アプリ・サービスとの連携も可能なため、あらゆる業務の効率化を実現します。加えて、データは基盤モデルの学習に利用されない設計となっており、管理者は DLP ポリシーやコネクタ制御でガバナンスを徹底できます。
Microsoft Copilot Studio にはさまざまな活用方法がありますが、社内へスムーズに浸透させるための注意点も押さえることが大切です。ぜひこの記事を参考に、自社の課題を解決できるか一度検討してみてはいかがでしょうか。
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