
社内向けの会議や研修資料、社外向けの営業やプレゼン資料の作成に欠かせないツール、PowerPoint。しかし、毎回いちから資料を作成するのは時間も手間もかかります。
そこで PowerPoint での効率的な資料作成におすすめなのが Microsoft の AI アシスタント Copilot です。
本記事では、Copilot の概要や PowerPoint での効果的な活用方法、Copilot を使った具体的な資料作成方法を紹介します。
PowerPoint での Copilot 活用を考えている方はぜひ参考にしてくださいね。
Microsoft Copilot のプランや料金は?
Microsoft Copilot は個人・法人問わず利用できる無料プランのほか、有料プランも用意されています。ここでは、それぞれのプラン内容、料金を見てみましょう。
個人・法人(無料プラン) | 個人向け有料プラン | 法人向け有料プラン | |
Microsoft 365 Copilot Chat | Microsoft 365 Pro | Microsoft 365 Copilot | |
利用料金( / 月) | 無料 | 3,200 円 | 4,497 円( / ユーザー) |
質問への回答・要約機能 | 有 | 有 | 有 |
画像生成 | 1 日の枚数制限あり | 制限の記載は無し | 制限の記載は無し |
優先アクセス権※ | 無 | 有 | 有 |
Microsoft 製品との連携 | 無※ただし Edge や Bing 上に組み込まれた Cpilot や、Windows のタスクバーで Microsoft 365 に関する質問をすることは可能 | 有 | 有 |
Teams での利用 | 無 | 無 | 有 |
カスタマイズ | 無 | 有 | 有 |
高度なセキュリティ機能 | 無 | 無 | 有 |
※優先アクセス権:利用者の多いピーク時間帯であっても優先的にアクセス権が付与され、迅速に回答を得られる権利
PowerPoint の Copilot の用途とできること
PowerPoint で Copilot を使えばさまざまな作業が効率化されます。たとえば、Word を使って作成した文章をもとに Copilot に指示を与えれば、自動で PowerPoint で資料作成が可能です。
資料の内容とスライドの枚数、研修用や営業用などのように用途を指示するだけでデザインも含め、自動で資料作成を行います。
PowerPoint で資料作成をする際に意外と時間がかかる文章内容に合ったイラストを探す作業も自動で行えるようになるため、作業効率は大幅に向上するでしょう。
Copilot を使って PowerPoint のスライドを作成するには、Microsoft 365 Copilot ライセンスまたは Copilot Pro ライセンスが必要です。
Copilot を使って PowerPointのスライドを作成する方法
実際に Copilot を使って PowerPoint のスライドを作成する方法を解説します。ここでは、「テンプレートを使う方法」「 Word ファイルから作成する方法」「既存のスライドにスライドや画像を追加する方法」の 3 つの方法を紹介します。
テンプレートを使用して作成する
テンプレートを使用して作成する方法について、順を追って解説します。
- PowerPoint を開き、表示されるテーマを選択もしくは画面左側メニューにある「新規」に表示されるプレゼンテーションやテーマなどから作成に使用するものを選択する。また、 office.com からテーマやテンプレートを選択することも可能
- 画面上部に表示されるリボンの「ホーム」タブにある「 Copilot 」をクリックする
- プレゼンテーションの下書き作成に必要な内容(プロンプト)を入力、もしくは「ファイルからプレゼンテーションを作成」を選択し、テーマやテンプレ―トを使ってプレゼンテーションの下書きを作成する
- Copilot が下書きのプレゼンテーションを新しいプレゼンテーションに置換する。最初に作成した下書きのプレゼンテーションはなくなってしまうため、必要であればコピーを保存したうえで 3 の作業を改めて実行する。ただし、すでにコピーを作成している場合は、 Copilot で確認のうえ、新しい下書きの作成に進む。
- 目的に応じてプレゼンテーションの編集を行う。

Word ファイルから作成する
次に Word で作成した文書ファイルをもとにして作成する方法について順を追って解説します。
- PowerPoint を開き「新しいプレゼンテーション」を選択する
- 画面上部に表示されるリボンの「ホーム」タブにある「 Copilot 」をクリックする
- 「ファイルからプレゼンテーションを作成」をクリックもしくは入力する
- ピッカーが表示されるのでプレゼンテーションを作成したい Word ドキュメントを選択、もしくはファイル名を検索して選択する。なお、ピッカーが表示されない場合は、(/:フロントスラッシュ)を入力すれば表示される
- 「送信」を選択すると Copilot がプレゼンテーションの下書きを作成する
- 下書きが作成されたら目的に応じてプレゼンテーションの編集を行う。

既存のスライドにスライドや画像を追加する
Copilot を使えば、すでに作成したプレゼンテーションに適切なスライドや画像を追加することも可能です。ここでは具体的な方法について解説します。
- スライドを追加する方法
既存のプレゼンテーションに新たにスライドを追加したい場合、例えば次のような内容(プロンプト)で Copilot に指示を与えます。
「○○社の過去1年間の株価チャートをスライドにして追加してください」
「○○社の Web サイトに掲載されている取扱商品を一覧表示にしたスライドを追加してください」
- スライドに画像を追加する方法
テキストだけでは伝わりにくいスライドに画像やイラストを追加するには、例えば次のような内容(プロンプト)で Copilot に指示を与えます。
「 Web ミーティングを行っている画像を追加してください 」
「車椅子に乗った社員がスロープを使って会社に入っていく画像を追加してください」

PowerPoint (パワポ)で作成したスライドを Copilot を使用して要約する方法
Copilot を使えば、 PowerPoint で作成したスライドの要約を作成することもできます。具体的な手順は次のとおりです。
- 内容を要約したいプレゼンテーションを開いた状態で画面上部に表示されるリボンの「ホーム」タブにある「 Copilot 」をクリックする
- 画面の右側に開く Copilot のウィンドウの下部にあるプロンプトフィールドに「このデッキの要約」と入力する
- 送信をクリックすると要約された内容が Copilot のウィンドウに表示される

ほかにもある!使えるプロンプトを紹介
ここでは、PowerPoint でよく使われるプロンプトの事例を紹介します。
- このプレゼンテーションに対して視聴者から出そうな想定質問をまとめてください
プレゼンテーションを受けた相手が疑問に思う点が整理され、適切な回答、プレゼンテーション内容の改善につながります。
- XXについて教えてください
資料内でピンポイントの情報が取り出せ、内容の要約も容易にできるようになります。
- 資料の要約を日本語でしてください
海外の資料や論文などを使う際にも、日本語で簡潔に確認できるようになり、プレゼンテーション作成の効率化が実現します。
- イメージ画像を追加して
資料内にイメージ画像を簡単に追加できるようになり、画像検索時間の短縮につながる上、より分かりやすく伝えられるようになります。
PowerPoint でCopilotを利用する際の注意点
PowerPoint で Copilot を利用する際、いくつかの注意点があります。
生成内容の正確さや情報の鮮度を確認する
Copilot に限らず、AI が生成する内容は必ずしも正確ではない場合もあります。また、古い情報を元にデータを生成し、最新の情報とは異なる内容になってしまう可能性もあるため、自分で確認しなくてはなりません。
とくに年号や金額、データといった数字、法律などは十分に確認する必要があります。また、専門用語などが多い場合、勝手に使われていない言葉をつくってしまうこともあるため、注意しましょう。
セキュリティリスクもチェック
Copilot を使って生成した資料のなかに、社内の機密情報や顧客情報が落とし込まれていないかも確認する必要があります。
Copilot は情報の機密度は理解できないため、公開してよい情報と非公開にしなくてはならない情報の判断は基本的にできません。
そのため、Copilot にアクセス権のある情報のなかに非公開にしなくてはならない情報があっても、資料のなかに落とし込んでしまうリスクがあります。
Copilot を使う場合、アクセスできる情報の中身の確認を徹底するのはもちろん、生成された資料の内容確認も必ずするようにしてください。
著作権侵害をしていないか確認する
Copilot が生成した画像や文章が既存の著作権を侵害していないかどうかの確認も欠かせません。具体的には生成された画像のなかに既存のキャラクターに酷似したものが描かれていた、特定のイラストレーターの作風を模倣したものを生成したなどが挙げられます。
ほかにもプレゼンテーションで生成した文章が特定の資料や論文の内容をコピーしたものになっているケースも少なくありません。
画像や文章は、画像検索や論文検索などを行い、著作権侵害に当たる内容になっていないかどうかも必ず確認しましょう。
PowerPoint の Copilot に関するよくある質問
ここでは、PowerPointのCopilotを使う上で、生じやすい問題や疑問について解説します。
Copilot ボタンが表示されない・非アクティブになっているのはなぜ ?
Microsoft 365 Copilot ライセンスまたは Copilot Pro ライセンスがあるにもかかわらず、 PowerPoint の画面上に Copilot のボタンが表示されない、非アクティブになっている場合があります。
原因としては、インターネットに接続されていないケースが考えられます。 Copilot はインターネットが接続されていない状態では使えないため、 Copilot のボタンが表示されない・非アクティブになっている場合は、インターネットの接続を確認しましょう。
追加される画像の取得先は ?
Copilot を使ってスライドに画像を追加する際、その画像はどこから取得してきたかは気になるところです。
特に社外向けの営業資料や社外セミナーで使用するプレゼンテーションで取得先がわからないようでは、著作権侵害になるのではと不安になってしまう可能性もあるでしょう。
Copilot が取得する画像は、 PowerPoint のコンテキスト内で Microsoft のライセンスが付与されているもののため、安心して利用できます。
スライドの内容はオリジナル?信頼できる ?
作成したプレゼンテーションを業務で使う場合、気になるのがスライドの内容はオリジナルのものなのか、信頼性のあるものなのかという点です。
基本的に Copilot が作成するスライドの内容は、インターネット上で検出された言語パターンにもとづいて作成されます。そのため、場合によっては既存のコンテンツ内容と酷似しているケースも少なくありません。また、データに間違いがある場合もあります。
PowerPoint で Copilot を使うのは下書きの作成やセクションの整理、内容の要約などがおすすめです。下書きのものをそのまま使うことは避けたほうがよいでしょう。
会社のテンプレートを使用できる ?
Copilot を使って PowerPoint の下書きを作成する際、会社オリジナルのテンプレートを使用することも可能です。一旦、Copilotで下書きを作成し、改めて会社オリジナルのテンプレートに差し替えるといった作業は必要はありません。
ただし、会社オリジナルのテンプレートが使えるのは、 Microsoft 365 Copilot のライセンスを取得している場合のみです。
Copilot を活用して PowerPoint の作成を効率化しよう
社内、社外を問わず資料を作成する際に PowerPoint は欠かせないツールの一つです。ただ、 PowerPoint を使った資料作成は、内容以外にもデザインや画像の追加など考えるべきことも多く、時間や手間を要します。
Copilot は テンプレートを使用してプレゼンテーションしたり、Word で作成した文章を使ってプレゼンテーションを作成したりすることができます。また、作成したプレゼンテーションの内容を整理したり、内容を要約したりすることも可能です。
Copilotを活用することで、PowerPoint でのプレゼンテーションの作成にかける時間を大幅に削減できます。
Copilot は Copilot Pro ライセンスでも利用できるものの、会社のテンプレートを使うには Microsoft 365 Copilot のライセンスが必要です。法人での利用であれば、 Microsoft 365 Copilot の活用をおすすめします。