クラウドストレージやファイル共有サービスの普及により、URL(ファイルリンク)を使ったデータ共有は、多くの企業で一般的な手段となっています。一方で、アクセス権限などを設定しなければ、セキュリティリスクや運用上の課題につながる可能性があるため、適切な運用が不可欠です。
本記事では、ファイルリンク共有の仕組みや潜在的なリスク、安全に運用するための対策について解説するので、ぜひ参考にしてください。
ファイルリンクとは?
ファイルリンクとは、クラウド上に保存したファイルの URL を共有することで、相手にデータを渡す方法です。ここでは、その基本的な仕組みや企業で広く使われている理由について解説します。
ファイルリンクによる共有の仕組み
ファイルリンクによる共有は、クラウドストレージなどのオンライン上にファイルをアップロードし、そのファイルにアクセスできる URL(リンク)を発行して相手に送ることで成り立っています。
受信者はそのリンクをクリックするだけで、ファイルの閲覧やダウンロードが可能です。従来のメール添付とは異なり、ファイル自体を送信するのではなく「アクセス先」を共有する点が大きな特徴です。
なお、共有リンクには「リンクを知っている全員がアクセスできる設定」と「特定のユーザーのみに限定する設定」があり、用途に応じて使い分けることが重要です。適切な設定を行わないと、意図しない範囲にファイルが公開されるリスクがあるため、注意が必要です。
主な利用サービス
ファイルリンク共有の機能は、さまざまなクラウドサービスで利用されています。代表的なものとしては、Microsoft が提供する OneDrive や、Google の Google Drive などが挙げられます。
これらはブラウザや専用アプリから簡単にファイルをアップロードでき、リンクを発行する機能も標準で備えています。また、アクセス権限の設定や共有範囲の制御といった機能も充実しており、多くの企業で活用されているサービスです。
そのほか、Dropbox や Box など、個人・法人を問わず幅広い用途で利用されているサービスもあります。
なぜ企業で広く使われているのか
ファイルリンクが企業で広く使われている理由のひとつは、大容量のファイルを手軽に共有できる点です。メールに添付する場合、容量制限によって動画や高解像度の資料などは送信が難しいケースも少なくありません。
一方、ファイルリンクを利用すれば、クラウド上にアップロードしたファイルの URL を送るだけで済むため、容量を気にせず共有できます。また、万が一送信先を間違えてしまった場合でも、リンク先のアクセス権限を適切に設定しておけば、意図しない相手にファイルを閲覧されるリスクを抑えられるのもメリットです。
こうした利便性の高さから、情報共有の手段として多くの企業でファイルリンクの活用が進んでいます。
OneDriveのファイルをリンクで共有する方法
Word や Excel といった Office ソフトを利用するため、Microsoft 365 を採用している企業も多いでしょう。OneDrive は Microsoft が提供するクラウドストレージサービスであり、Microsoft 365 のビジネスプランには基本的に含まれています。
そのため、Microsoft 365 を利用している企業では、ファイル共有に OneDrive を活用するケースが少なくありません。
ここでは、OneDrive のファイルをリンクで共有する方法について解説します。
ファイルのリンクを取得する方法
OneDriveでは、ファイルやフォルダを指定して共有リンクを簡単に作成できます。作成したリンクを相手に送ることで、ファイルの閲覧やダウンロードが可能になります。
具体的な手順は以下の通りです。
- 共有したいファイルまたはフォルダを選択する
- 画面上部にある「共有」を選択する
- 「リンクのコピー」を選択すると共有用のURLがコピーされる
- 必要に応じて歯車アイコンからリンクのアクセス権やオプションを設定する
- 「適用」を選択する
- 「コピー」→「送信」を選択する
- メールやチャットにコピーしたURLを貼り付けて相手に送信する
共有する権限や期限を設定する方法
OneDriveでは、共有リンクを作成する際にアクセス権限の設定が可能です。これにより、ファイルの共有範囲をコントロールできます。
設定できるアクセス権限の種類は、以下の通りです。
- すべてのユーザー(リンクを知っている全員)
- リンクを知っている組織内のユーザー
- 既存のアクセス権を持つユーザー
- 個別に指定したユーザー
これらの権限は、共有リンク作成時に表示される歯車アイコンから設定できます。
また、「その他の設定」からは有効期限を指定することも可能です。有効期限を設定すると、指定した日付を過ぎた時点でリンクは無効となり、アクセスできなくなります。
さらに、ダウンロードの禁止やパスワードの設定なども行えるため、用途に応じて適切に活用しましょう。
ファイルリンク共有に潜むセキュリティリスク
ファイルリンク共有は便利な一方で、使い方によっては情報漏えいなどのセキュリティリスクにつながる可能性があるため、注意が必要です。ここでは、代表的な5つのリスクを紹介します。
URLを知っていれば誰でもアクセスできる
近年、共有リンクの公開範囲設定を誤ったまま運用したことで、本来社外に出すべきでないファイルが誰でも閲覧可能な状態になっていた事例が報告されています。実際に国内大手IT企業では、Googleドライブの共有設定ミスで6年以上ファイルが外部から閲覧可能な状態になっていたケースがありました。このように、ファイルリンクの設定ミスは企業の信頼を大きく損なうリスクがあります。
共有リンクは、設定内容によってはURLを知っている人であれば誰でもアクセスできる状態になってしまい、意図しない範囲に情報が広がるリスクがあります。
例えば、共有リンクをメールやチャットで送信する際に、誤って関係のない相手を含めてしまうケースや、一度外部に渡ったURLが意図せず拡散されてしまうケースなどが考えられます。こうした状況では、どこまで情報が広がったのか把握することが困難になり、結果として情報漏えいにつながるおそれがあります。
社外共有の範囲が管理できない
ファイルリンクを社外に共有した場合、そのリンクが受信者によって第三者に転送される可能性も考慮しておかなければなりません。このようなケースでは、共有範囲を正確にコントロールするのは困難です。
さらに、一般的なファイル共有では「誰が」「いつ」「何回」アクセスしたのかを追跡できないケースも少なくありません。アクセスログが取得できない、または取得できても確認が煩雑な環境では、不正アクセスや意図しない情報拡散が発生しても、その事実に気づけない可能性があります。
このとき、アクセス権限が適切に設定されていないと、想定以上に多くの人がファイルにアクセスできる状態となり、結果として情報が広範囲に拡散してしまうリスクがあります。こうした状況は、大規模な情報漏えいにつながる可能性も否定できません。
有効期限が設定されていないリンク
共有リンクに有効期限が設定されていないと、長期間にわたってアクセス可能な状態が続いてしまいます。その結果、すでに利用されていない古いファイルが公開されたままになる点に注意が必要です。
こうした状態が発生する背景には、取引終了後もリンクの設定が見直されないまま放置されるケースや、退職者のアカウントが削除されずに残っている、いわゆる「ゾンビアカウント」の存在などが挙げられます。
このように権限設定やアカウント管理が行き届いていない場合、意図せず情報が公開され続けるリスクがあります。
パスワード設定が形骸化するケース
ファイルリンクのセキュリティ対策としてパスワードを設定する方法は一般的ですが、運用によっては十分な効果が得られない場合があります。
例えば、推測されやすい簡単なパスワードを設定していたり、複数のリンクで同じパスワードを使い回していたりすると、第三者に突破されるリスクが高まります。このような状態では、パスワードを設定していても実質的な防御として機能せず、セキュリティリスクが高まる点に注意してください。
共有したデータが削除されずに放置されるリスク
共有したファイルリンクが不要になった後も削除されずに残り続けると、データが公開された状態のまま放置されるリスクがあります。
例えば、過去のプロジェクト資料や一時的に共有したファイルなどは、役割を終えた後もそのまま残されるケースが少なくありません。このようなデータが蓄積すると、どの情報が公開されているのか把握しづらくなり、意図しない情報公開につながるおそれがあります。
ファイルリンク共有のよくある課題
企業が情報共有の手段としてファイルリンクを活用する際には、利便性の裏側でいくつかの課題が生じることがあります。ここでは、ファイルリンク共有のビジネス利用において発生しやすい代表的な課題を3つ紹介します。
共有設定がユーザー任せになる
ファイルリンク共有のアクセス権限や有効期限などの設定内容を個人の判断に委ねているケースでは、セキュリティレベルにばらつきが生じやすくなります。
特に、社内で統一されたルールやガイドラインが整備されていない場合、「とりあえず共有できればよい」といった運用になりがちです。その結果、本来制限すべき範囲までアクセス可能な状態になるなど、意図しないセキュリティリスクを招く可能性があります。
管理者が共有状況を把握できない
ファイルリンクの運用が拡大すると、どのファイルが誰に対して共有されているのかを管理者が完全に把握するのは困難です。その結果、リスクのあるデータが知らないうちに外部共有されている可能性も否定できません。
例えば、日常的に多数の共有リンクが発行される環境では、何千ものリンクが乱立し、一覧での管理は難しいでしょう。また、社外秘の資料が誤って外部共有されていたり、どのリンクが外部向けなのか区別がつかなくなったりするケースも考えられます。
共有リンクが増えすぎて管理不能になる
ファイルリンクによる共有を長期間にわたって運用していると、発行されたリンクが蓄積され続け、管理が難しくなります。
例えば、プロジェクトごとや一時的な用途で作成されたリンクが整理されないまま残り続けると、どのリンクが現在も有効なのか把握しづらくなるでしょう。その結果、不要なリンクが放置されたり、管理の抜け漏れが発生したりするなど、運用上の負担やリスクが増大してしまいます。
安全なファイルリンク共有の基本設定
ファイルリンク共有は便利な一方で、適切に運用しなければセキュリティリスクや運用上の課題につながる可能性があります。ここでは、安全にファイルリンクを活用するための基本的な設定を紹介するので、ぜひ取り入れてみてください。
パスワードを設定する
ファイルリンク共有における最も基本的なセキュリティ対策のひとつが、パスワードの設定です。共有リンクにパスワードを設定しておくことで、リンクのURLが第三者に知られたとしても、パスワードを知らないユーザーによる不正アクセスのリスクを抑えられます。
セキュリティ対策がユーザー任せにならないよう、社内の運用ルールとしてパスワード設定を徹底することも重要です。その際には、「推測されやすい簡単なパスワードは避ける」「複数のリンクで同じパスワードを使い回さない」といった注意点も、あわせて周知しておきましょう。
有効期限を設定する
共有リンクに有効期限を設定しておくと、ファイルが長期間公開されたままになるリスクを回避できます。必要な期間を過ぎるとリンクは自動的に無効となるため、手動で無効化する手間を減らせるだけでなく、無効化のし忘れによるリスクも軽減されます。
特に、一時的な資料共有や外部とのやり取りでは、有効期限の設定が情報管理の徹底につながるため、忘れず設定するようにしましょう。プロジェクト終了後や取引完了後に自動的にアクセスが遮断されるため、運用負担を抑えながらセキュリティレベルの維持が可能になります。
アクセス権限を制御する
多くのクラウドサービスでは、共有リンク作成時に「閲覧のみ」「編集可能」「ダウンロード不可」といった細かなアクセス権限の設定が可能です。これらの機能を適切に活用することで、誰がどこまでファイルを操作できるかを細かく制御でき、情報の取り扱い範囲を明確にできます。
例えば、閲覧のみの権限に設定すれば内容の確認に限定でき、編集やダウンロードを制限して意図しない改ざんや二次配布を防ぐ効果が期待できます。ファイルを共有する際には、必要最小限の権限にとどめ、過剰な権限を付与しないようにしましょう。
社外共有の範囲を制限する
社外向けに共有リンクを作成する際は特定のユーザーのみに限定するなど、外部共有の範囲を適切に制限することが重要です。共有先を明確にし、必要な相手のみにアクセスを許可する運用を徹底すると、情報の取り扱いをコントロールしやすくなります。
「リンクを知っている全員」といった広いアクセス権限を設定してしまうと、受信者から別の人へ転送されるなど、意図しない範囲に情報が拡散するおそれがあります。一度拡散したリンクは回収が難しく、誰がアクセスできる状態にあるのか把握できなくなるため、注意してください。
このような設定はセキュリティリスクが高いため、外部共有時には特に慎重な権限設定が求められます。
ファイルリンクの共有状況をDenshoBakoで把握できる
ファイルリンクによる共有は非常に便利である一方、運用が現場任せになりやすく、データの削除漏れや有効期限の未設定といったセキュリティ上の問題が放置されてしまうケースも少なくありません。こうした状況では、知らないうちに不要なファイルが公開されたままになるなど、情報管理のリスクが高まります。
このような課題を解決するツールとして、DenshoBako の活用がおすすめです。DenshoBako は Microsoft 365 と連携して利用できるファイル共有ツールで、複数ファイルの一括共有やパスワード付きリンクの作成など、実務に即した機能を備えています。
さらに、ファイルごとの閲覧状況やアクセス状況を管理者が確認できるため、共有状況を適切に把握しながら運用することが可能です。安心してファイル共有を行える環境を整えられるため、結果として業務効率の向上にもつながるでしょう。
ファイル共有のセキュリティ対策や運用負荷の軽減のため、ぜひご活用ください。
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