ファイルサーバーをクラウドに移行するメリットや手順は?課題になってしまう意外なポイントも

近年、従来のオンプレミス型ファイルサーバーからクラウドへと、データ移行を進める企業が増加しています。クラウド化には効率化や BCP 対策への貢献といったメリットがあります。

しかし、既存システムとの連携やモニタリングの負担など、煩雑さに悩まされるケースも少なくありません。

本記事では、ファイルサーバーのクラウド移行について、メリットや手順、移行時に陥りがちな課題と解決策を解説します。

ファイルサーバーをクラウドに移行するメリット

自社のファイルサーバーをクラウドに移行するメリットを解説します。

生産性向上

ファイルサーバーをクラウドに移行することで、業務の生産性が大幅に向上します。

社外からファイルにアクセスでき、複数人によるリアルタイムなファイル編集が可能になると、場所を選ばない柔軟な働き方が実現します。

クラウド移行によって整えられた働きやすい環境は、企業全体にさらなる好影響をもたらすでしょう。リモートワーク環境の充実は、優秀な人材の獲得に有利に働きます。

また、社員満足度が大幅に高まることも期待できます。

BCP 対策になる

ファイルサーバーのクラウド移行は、BCP 対策に貢献します。

従来のオンプレミス環境では、災害発生時にハードウェアが物理的損傷を受けることで、復旧作業が長期化するリスクを抱えていました。一方、クラウドサービスのデータセンターは堅牢な設計が施されています。

自然災害やシステム障害、サイバー攻撃といったあらゆる緊急事態に直面した際も、クラウド基盤の強固な保護機能により、事業の継続や早期復旧が可能となります。

担当者の業務負担削減

ファイルサーバーのクラウド移行により、システム担当者の業務負担を大幅に削減できます。

従来のオンプレミス環境では、定期的なメンテナンス作業や最新のセキュリティ対策、各種規制への対応が、担当者に大きな負担をかけていました。

しかし、クラウドサービスを導入すると、煩雑な作業の大部分をサービス側が実行してくれます。

サービス側の充実したサポートにより、システム担当者は業務負担から解放され、時間を有効活用できるようになります。

費用削減につながる

ファイルサーバーのクラウド移行は、費用削減にも貢献します。サーバー機器の購入費用やメンテナンス費用、電気代といった固定費を大幅に圧縮できるためです。

また、物理的なサーバー設置スペースが不要になると、オフィス面積の縮小が可能となり、賃料コストの見直しにもつながるでしょう。

クラウドサービスの多くは月額制の料金体系を採用しており、企業の規模や必要な機能に応じて適正なコストで運用できます。

AI 活用の下地になる

ファイルサーバーのクラウド移行は、将来的な AI 活用の基盤づくりにも貢献します。

クラウド環境では、システムの機能拡張やストレージ容量の追加が柔軟に行えるため、新しい技術への対応力を大幅に向上させられます。拡張性の高さは、AI 機能の導入時にも大きなメリットとなるでしょう。

実際に、Microsoft 365 などのクラウドサービスでは、Copilot などの AI 機能が順次追加されており、ユーザーは最新機能を迅速に活用できます。

ファイルサーバーを移行する方法

ここでは、自社のファイルサーバーをクラウドに移行する手順を解説します。

1:移行データの整理

現在保有しているデータを確認し、クラウドへ移行する対象を明確に決定しましょう。

長期間使用していない古いデータや重複するデータの洗い出しを行い、不要なデータを移行対象から除外します。業務上不要となったデータを事前に整理することで、移行するデータ量を最適化できます。

2:優先順位とスケジュールの決定

データ移行を効率的に進めるには、部署や業務領域ごとに優先順位を設定する必要があります。

組織への影響度や緊急性を考慮して優先順位を定め、詳細な移行スケジュールを策定しましょう。

移行スケジュールが明確になると、各部署のユーザーは自身が取り扱っているデータの移行時期と、新システムの利用開始日を適切に把握できるようになります。

また、移行担当者は、作業を分割することで問題の切り分けが容易になり、各段階において適切な検証を実施できます。

さらに、段階的な移行により少量ずつデータを転送すると、クラウドサービス側で発生する転送速度制限の影響を抑えることが可能です。

3:データ移行ツールの検討

移行するデータとスケジュールが確定したあとは、最適な機能を備えたデータ移行ツールの選定を行います。

大容量データを移行する際はさまざまなエラーが発生しやすく、トラブル対応により担当者の作業負荷が増加する傾向があります。専用の移行ツールを活用することで、こうした問題を効率的に解決できるでしょう。

ツール選定では、多様な移行元に対応できるか、データの消失リスクを最小化できるかなど、検討すべき要件が数多くあります。

とくに、システム停止時間を最小限に抑えられるかなど、ユーザーへの負担を軽減する機能も重要です。

4:テスト移行

本格的なデータ移行に着手する前に、まずはテスト移行を実施します。

テスト環境において限定的に実際の移行処理を実行し、データの整合性やアプリケーションの動作状況を詳細に検証しましょう。

検証過程で問題や不具合が発見された場合は、修正作業を行い、再度テストを実施します。

5:データ移行の実施・共有

テスト移行で問題が解決されたら、いよいよ本格的な切り替え作業を実施します。

当日は、事前にすべての関係者に作業を周知しておきましょう。作業が順調に進行している場合でも、進捗状況を定期的に報告すると関係者の不安は軽減されます。

データ移行が完了したあとは、システムの動作確認やファイルアクセスの検証を改めて実施します。最終確認が終了次第、作業完了を報告してください。

ファイルサーバーを移行する際の課題

自社のファイルサーバーをクラウドに移行する際に発生しがちな課題と、その対策を解説します。

既存システムとの互換性の確認が大変

ファイルサーバーのクラウド移行では、既存システムとの互換性の確認に多大な手間がかかります。

とくに問題となるのが、業務データがクラウド環境で適切に管理できるかどうかの確認です。

たとえば、ファイル名に禁則文字が使用されていると、クラウドサービス内で文字化けが発生するリスクがあります。

しかし、膨大な量のファイルを手動で確認することは現実的ではありません。互換性を自動チェックできる移行ツールの活用など、効率的なアプローチが求められるでしょう。

モニタリングに工数がかかる

データ移行時は、常時モニタリングが必要です。スケジュールどおりに移行作業を進めるには、遅延の兆候を早期に発見し、不具合やエラーに迅速に対応する必要があるためです。

しかし、人的リソースが限られるなか、長期間にわたってモニタリング業務に人員を配置し続けることは、多くの企業にとって大きな負担となります。

モニタリングを自動化できる移行ツールの活用など、移行担当者の負担軽減策を検討しましょう。

AvePoint FLY で移行の煩雑さを解決

AvePoint の FLY は、オンプレミスやクラウドに散在する各種データを、まとめて Microsoft 365 に移行できる専用ツールです。

移行前の環境アセスメント機能により、移行時間を正確に見積もることでスケジュール策定に役立てられます。また、移行できないファイルや不要なファイルを断捨離でき、モニタリング機能による遅延の早期発見も可能です。

充実した機能により、移行担当者の負担を軽減しながら、リスクを最小限に抑えたスムーズなデータ移行が可能です。

専門家に相談する

Microsoft 365 へのデータ移行をご検討の方は、ぜひ FLY に関する資料をご覧ください。

徹底した事前準備のもと、ファイルサーバーの移行を進めよう

ファイルサーバーからクラウドへデータを移行する際は、計画的な取り組みが求められます。とくに、既存のシステムとクラウドサービス間でのデータの互換性や、モニタリングに関する負担が発生しがちです。

安全かつ効率よくファイルサーバーからのデータ移行を進めるには、移行ツールの活用を検討しましょう。