ついに今年も Microsoft Ignite 2025 が幕を開けました!
世界中のITプロフェッショナルが集結し、最新クラウド技術からAIの進化、セキュリティ戦略まで、次の1年を方向づける数々の発表が行われるこの大型イベント。
今年は AvePoint Japan からも現地にメンバーを派遣中!
現地からリアルタイムでその熱気をお伝えしていきます。

本記事では、まず Ignite全体のイベント概要を押さえつつ、初日に行われた 基調講演(Keynote) のハイライトを凝縮してまとめています。今年の基調講演では、Microsoft 自身が「AIの活用が進んでいない現実」を認めるという、少し驚きの内容から始まりました。
明日以降も主要セッションや発表された新機能の実践的なポイントを連日レポート予定。
まずは初日の全体像を一緒に見ていきましょう。
Microsoft Ignite とは?
Microsoft Ignite は Microsoft 最大の年次カンファレンスで、毎年米国の都市で行われています。今年は、米国カリフォルニア州サンフランシスコの Moscone Center を会場に、11月18日~21日の4日間で開催しています。参加登録者数は20万人超、うち現地参加者も1万7千人程度にのぼる規模となり、世界中から開発者・ITプロフェッショナル・パートナー企業が集まっています。
Microsoft 社によるセッション数は400以上。例年通り、デモやハンズオンラボも豊富に用意され、テクノロジー活用を体験を通じて学べるイベントとなっています。

また、会場には多数のパートナー企業が集まるエキスポエリアも設置されており、弊社 AvePoint の米国法人も例年通りブースを出展しています。Teams の管理や SharePoint のバックアップといった従来からの製品に加え、AI Agent の管理のための新製品を会場でお披露目。
AvePoint の新製品をご紹介する前に、まずは Microsoft 社の発表内容からおさらいしていきましょう。
「AIを活用できている企業は少ない?」基調講演の内容まとめ
例年は Microsoft 社の CEO である Satya Nadella 氏が基調講演のオープニングトークを行っていますが、今年はコマーシャルビジネス部門の Judson Althoff 氏がオープニングを務めました。
講演の主題はもちろん AI 。
しかし、「エージェント化する世界を作る」と高らか宣言した昨年のイケイケドンドンのムードとは打って変わり、今年は「実は AI を活用できている企業は少ない」という現実認識から始める、実に地に足の着いた内容という印象です。

AIプロジェクトが失敗する理由
”AIよりも早く採用されたテクノロジーの波は、世界の歴史上かつてありませんが、全体として、AIプロジェクトの成功率は、私たちが望むものではありません”
講演の中で Judson 氏は「AIプロジェクトの成功率が期待ほど高くない現状」を正直に認めたうえで、その主な理由として4つの共通点を挙げました。
- ビジネス部門とITプロフェッショナル間の連携不足(Inconsistent Alignment):ビジネス部門とITプロフェッショナル間の連携が非常に一貫性を欠いていること。
- データ品質の問題(Data Quality Issues):AI開発者が、取り組みから有意義な成果を得るために合理化する必要がある、膨大なデータ品質の問題が存在すること。
- ガバナンスと規制要件による影響の限定:規制またはその他の要件など、市場におけるガバナンスと要件により、AIがビジネスに影響を与える真の主要な取り組みから、脇に追いやられてしまっていること。
- 実験への過度な重点(Overemphasis on Experimentation):影響を与える可能性のある実際のビジネスシナリオ全体でAIを大規模に活用するのではなく、実験(「ランダムなイノベーションの行為」)に過度に重点が置かれていること。
逆に、AI活用プロジェクトを成功させている企業を「フロンティア企業(Frontier Firm)」と定義し、彼らのベストプラクティスを紹介しています。
「フロンティア企業」の成功フレームワーク
これらの課題に対し、成功しているフロンティア企業では、以下の3つのアプローチがとられていると述べられています。少し観念的、抽象的な表現ですが見ていきましょう。
- 人間の意図の流れの中でのAI利用(AI in the flow of human ambition):チャットウィンドウに情報をコピー&ペーストするのではなく、人々が日常的に使用するツールにAIをシームレスに組み込み、実際の作業を達成できるようにすること。
- ユビキタスなイノベーション(Ubiquitous Innovation):誰もが「メーカー」としての能力を持つことを可能にし、問題や機会に最も近い人々がAIアーティファクトを作成できるツールを提供すること。
- スタックの全レイヤーにおける可観測性(Observability):展開されたAIをガバナンス、管理、保護、最適化すること(エージェントの使用状況、ワークフロー、得られた結果を監視すること)
平易な表現にまとめると「AI ツールを日々の業務の中にシームレスに組み込む。そのAIツールは与えられるものではなく、ユーザー自身が作るもの。そしてそれらのAIツールの利用状況を管理者がしっかりと管理する」といったところでしょうか。
Ignite では、これらを実現するための仕組みとして、 Microsoft Agent 365 のような Agent の管理機能や、Work IQ と呼ばれる新たなインテリジェントレイヤーが紹介されています。詳細は Ignite のページから個別の動画を確認できるので、ぜひご覧ください。
次回予告:AvePoint の新製品「AgentPulse」

今年の Ignite では AvePoint も新製品をリリースしました。その名も「AgentPulse(エージェント・パルス)」。
ズバリ、AIエージェントの管理に特化した機能です。明日のブログでは新製品の情報を速報でお伝えします!
