
このデジタル時代にあって、コラボレーションは数年前と比べても圧倒的な進化を遂げています。ユーザーがこの進化についていくためには、基本的なコミュニケーション機能を遥かに超えたタスクをこなせる、柔軟でダイナミックなコラボレーション スペースが必要です。今回の記事では、このニーズに対応するMicrosoftの最新アプリ Microsoft Loop をご紹介します。
Microsoft Loopとは?どのようなツール?
Microsoft Loop は、チームでのリアルタイムな共同作業を当たり前にする、新しい時代のコラボレーションツールです。
Microsoft 365 と連携しながら、情報やアイデア、作業の流れを1つの空間にまとめることで、リモートワークや拠点の異なるメンバー同士でも、同じ情報をもとに作業を進められる環境を提供します。あらゆるアイデアやドキュメント、スケジュール、リンク、課題を都度個別に共有する必要はなく、Loopのスペースにまとめておくだけで、チーム全体がリアルタイムにアクセス・編集できるようになります。
Loop は単なる情報共有ツールではなく、業務プロセスの流れを支える作業の基盤です。この点で「Notion」と比較されますが、 Loop は Microsoft 365 アプリとの高い連携性を活かし、日常業務とシームレスにつながる点が大きな特長です。場所や時間にとらわれず働く現場に最適化された、情報と人をつなぐ新しいハブとして注目されています。
Microsoft Loop が必要とされる背景はコラボレーションの変化
かつて、チームやグループ内であるドキュメントを使って共同作業を行うには、メールでそのドキュメントを共有する必要がありました。そして、ドキュメントの編集が必要だと思ったユーザーが編集して所有者に送り返し、所有者が変更点を確認していました。リアルタイム チャットの普及前は、データやファイルが相手に届くのに時間がかかり、通知は即座に共有されませんでした。こういった古いコラボレーション手法では時間がかかりすぎるため、生産性の低下は避けられません。
その後、Microsoft はより容易なコラボレーションを実現する様々なツールを開発しました。SharePoint Online から Microsoft Teams に至る Microsoft の様々なコラボレーション ツールによって、組織の内外におけるコンテンツの共有とコラボレーションは圧倒的に簡単になりました。
2021年に行われた Ignite カンファレンスで、Microsoft はコラボレーション体験をさらに改善する計画として Microsoft Loop の導入を発表しました。この記事では、日常業務でこの新しいコラボレーション ツールをどのように活用できるのかご紹介します。
Microsoft Loop が使えるプランと価格
Microsoft Loop は、Microsoft 365 の法人向けプランに含まれており、以下の6つのプランから選択できます。
プラン名 | 月額料金 ※年払い | ユーザー | 特徴 |
Microsoft 365 Business Standard (Teamsあり) | 1,874円 | 一般法人 | 仕事に必要な Word や Excel などを、 パソコン やスマホで使えるアプリ一式 |
Microsoft 365 Business Standard (Teamsなし) | 1,536円 | ||
Microsoft 365 Business Premium (Teamsあり) | 3,298円 | 業務効率化とセキュリティ強化に必要な機能をまとめて提供 | |
Microsoft 365 Business Premium (Teamsなし) | 2,961円 | ||
Microsoft 365 E3 | 5,059円 | 大企業 | 業務アプリ+基本セキュリティ+ Windows ライセンス付きの中核プラン |
Microsoft 365 E5 | 8,208円 | 分析・セキュリティ強化に特化した最上位プラン |
※2025年6月現在
Microsoft Loop の3つの機能
Microsoft Loop は、大きく分けて次の 3 つのコンポーネントから構成されています。
Loop ワークスペース
チームに対して表示される共有スペースです。関連するあらゆるドキュメントと項目が含まれます。コラボレーションの参加者は、ここで現在進行中のプロジェクトやタスクの進捗状況を把握できます。
Loop ページ
プロジェクトのニーズに合わせてカスタマイズできる柔軟なキャンバスです。小さなものからスタートして、プロジェクトの進行とともに拡大することも可能です。
Loop コンポーネント
Microsoft Loop の最小単位で、Loop のコラボレーションを開始するのに使用できます。リストやテーブル、ノートといったシンプルな形式でも利用できます。コラボレーションのニーズに応じてカスタマイズできるテンプレートが用意されています。
Microsoft Loop のメリット
Microsoft Loop を導入すると、以下のメリットを得られます。
- 複数のチームやプロジェクト単位で情報の一元管理と可視化ができる
- Microsoft 365 製品と連携し作業を効率化できる
- リアルタイムでチームメンバーと共同作業ができる
複数のチームやプロジェクト単位で情報の一元管理と可視化ができる
Microsoft Loop は、複数の部署やプロジェクトチームにまたがる情報を、1つのワークスペースに集約し、整理・可視化できるツールです。
たとえば、営業、開発、カスタマーサポートなど異なる部門のメンバーが、進行中の案件に関するファイルやタスク、会議メモ、共有リンクを Loop 上で共有することで、情報が分散したり、重複したりするリスクを抑えられます。常に更新された内容にアクセスできるため、認識のズレも起こりにくくなるのです。
加えて、タスクリストやかんばん形式のボード、投票用のテーブルなどのテンプレートを活用すれば、進捗状況や優先度を視覚的に把握できます。プロジェクト全体の流れを見渡しやすくなるため、情報の取捨選択がスムーズです。
Microsoft 365製品と連携し作業を効率化できる
Loop は Microsoft 365 の各アプリとシームレスに統合されており、 Outlook や Teams などから直接 Loop コンポーネントを呼び出して作業できます。
たとえば、タスク表やリストを Teams のチャット内に埋め込んで共有すれば、そこから直接編集・更新が可能です。変更は即時にすべての関連アプリに反映されるため、常に最新の状態を保てます。
これにより、アプリ間の行き来が不要になり、関係者がそれぞれの利用環境から同じ情報にアクセス・編集できるため、業務効率の向上につなげられるでしょう。Microsoft 365 を業務の中心に据えている企業にとっては、特に親和性の高い仕組みといえます。
リアルタイムでチームメンバーと共同作業ができる
Loop の大きな特長は、メンバー同士がリアルタイムで同じコンテンツを操作できる点にあります。物理的な距離や時間に縛られず、同じページやコンポーネント上で同時に作業ができるため、コラボレーションの質向上が可能です。
たとえば、会議中に複数人で議事録を編集したり、タスクの進捗を即時に反映させたりすることで、やり取りにラグが発生せず、業務がスピーディに進みます。
さらに、コメントやリアクション機能を使って簡単にフィードバックを残せるため、非同期のやり取りでもチーム全体がつながりを実感しながら作業を進められます。時間差で作業に加わったメンバーも、すぐに最新の情報を把握できるため、業務停滞を防ぐうえでも効果的です。
Microsoft Loop でコラボレーション体験を改善する方法
先述した Microsoft Loop の強みや機能はどのように活用できるのでしょうか。代表的な活用シーンとその方法を4つ紹介します。
- 別のアプリから作業し、変更点をリアルタイムで追跡する
- Microsoft Teams 会議で Loop を活用する
- プロジェクトの状態を追跡する
- Loop を活用して投票する
1.別のアプリから作業し、変更点をリアルタイムで追跡する
先程述べた通り、Microsoft Loop のコンポーネントは Teams や Outlook、Word といった様々な Microsoft アプリからアクセスできます。Loop の最初のコンポーネントが Microsoft Teams 内で作成された場合でも、Teams テナント外のほかの共有ユーザーも作業が可能となっています。

開始するには、Microsoft Teams のチャットでハイライトされたボタンをクリックし、Loop コンポーネントの構築を始めます。コンポーネントは箇条書きやリスト、表などの形式が利用できます。この Loop ファイルは「fluid ファイル」とも呼ばれ、所有者の OneDrive アカウントに保存されます。このファイルは、その後共有することも可能です。Loop で新たなアクティビティがあるたびに、Microsoft Teams からユーザーに通知が送られます。

また、特定のユーザーは Word や OneDrive、Outlook 等からでも Loop のこのスペースの作業を開始できます。Microsoft のエコシステム内のどこからでもコラボレーションを行える柔軟性を有しているのです。

Loop のコンポーネントは、Office 365 のホームページからもアクセスし、作業を行うことができます。
2.Microsoft Teams 会議で Loop を活用する
Loop は、Teams の会議でも新たなコラボレーション機能として便利に活用できます。Teams 内では パブリック プレビュー モードでないと Loop のコンポーネントは確認できませんが、共有された場合はリンクを介してアクセスできます。
現時点では会議の招待状の作成時に Loop を追加するオプションはありませんが、招待ページから直接 Loop コンポーネントを追加することができます。

これは、会議の議事録の取り扱いにおいて非常に優れたソリューションになりえます。誰もがリアルタイム最新情報を入手できますし、たとえ会議に参加していなくても必要に応じて閲覧できます。Loop コンポーネントは、会議中にチャット ボックスから追加することも可能です。
アップロードされた時点で、チャットの参加者全員が見られるようになり、他の全ユーザーとリアルタイムの同期が可能です。また、前述のように、このコンポーネントは Microsoft Teams の外からでも表示できます。
3.プロジェクトの状態を追跡する
Teams にとって間違いなく有益な Loop コンポーネントが、ステータストラッカーです。これにより、ユーザーが状況を一元的に把握できる状態で、更新状況の確認やタスクの監視を行えるようになりました。この機能により、会議の頻度を大幅に減らすことも可能となるでしょう。

4.Loop を活用して投票する
4 つ目に紹介する Microsoft Loop コンポーネントは、投票テーブルです。これによりチームとして意思決定がしやすくなりました。また、Teams の外部でも、誰でも投票の更新をリアルタイムで確認できるようになり、透明性が向上します。

ここまで Loop が私たちの日常業務をより円滑にしてくれる実用的な 4 つの方法をご紹介してきましたが、Loop は他にも次のような機能を備えています。
- バージョン管理: 突発的な削除やユーザー エラーが発生しても、ロールバックできます。
- 権限: リンクをコピーしたり、直接権限を与えたりすることでユーザーをコラボレーションに招待できます。

- モバイル版: Microsoft Loop はモバイル フレンドリーなソリューションとなっており、外出先での仕事にも適しています。モバイル版は全員が利用できます。
Microsoft Loop を活用してコラボレーションを強化しよう
ワークスペースも、セットアップも異なるユーザーとコラボレーションを行うのは困難です。だからこそ、Microsoft Loop がもたらすつながりと透明性は、あらゆるユーザーのコラボレーション体験を確実に向上させるでしょう。すぐにでも Microsoft Loop をお試しください。