Teams のブレイクアウトルームを使いこなそう!上手な活用方法や表示されない理由も解説

Web を活用した会議、ミーティング、セミナー、研修会などが一般化するにつれ、さまざまな機能が追加され、より使い勝手もよくなっています。ブレイクアウトルームもその一つで、Teams では 2020 年 12 月に追加され、Web 会議やセミナーなどの活性化に大きく貢献している機能です。

本記事では、Teams のブレイクアウトルームについて、その概要、利用するメリット、具体的な使用方法などを解説します。Web 会議やセミナーの活性化を模索する担当者の方はぜひ、参考にしてください。

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Teams のブレイクアウトルームとは?

Microsoft のグループウェア、Teams では、社内のチームで Web 会議を行ったり、外部から参加者を募ってセミナーを行ったりできます。ブレイクアウトルームは、Teams で会議やセミナーを行う際、参加者を複数のグループに分けてディスカッションを行うための機能です。

たとえば、全国の支社にいる社員が参加する大規模な会議で、地区ごとに意見の取りまとめを行う、セミナーで複数のグループに分けてグループワークを行うといった際に使用できます。

2023 年 8 月現在、300 人以下の会議・セミナーで使用でき、最大で 50 のグループを作成することが可能です。

Teams のブレイクアウトルームを活用するメリット

Teams のブレイクアウトルーム活用によって得られるおもなメリットは次の 2 点です。

活発なディスカッションが可能になる

参加人数の多い大規模な会議は、Web ではなくても発言するのは難しく、一部の参加者のみだけで盛り上がるケースも少なくありません。それが Web になればなおさらです。しかし、ブレイクアウトルームを活用すれば数人規模のグループで発言もしやすくなり、活発なディスカッションが可能になります。

グループ作成やシャッフルが簡単にできる

通常の会議やセミナーでは、グループ分けを行うだけでもある程度の時間と手間を要します。しかし、ブレイクアウトルームであれば、ボタン一つもしくはユーザーを選択するだけで簡単にグループ分けが可能です。また、グループメンバーのシャッフルもすぐにできるため、効率的に会議、セミナーを進行できます。

ブレイクアウトルームの主催者ができること

ブレイクアウトルームを作成できるのは、会議、セミナーの主催者のみです。ここでは、主催者がそれ以外にできることを解説します。

  • ブレイクアウトルームの作成・設定

会議やセミナーの前、もしくは開催中にブレイクアウトルームを作成・設定できます。

  • ルーム間の移動

作成したルーム間を自由に行き来できます。

  • ルームの追加・削除

必要に応じてルームの追加や削除ができます。

  • ルームの名称(タイトル)の作成・変更

作成したグループの名称を決めたり、変更したりできます。

  • 参加者に対するルームの再割り当て

参加者を別のルームに移動させる、すべてのルーム参加者をシャッフルするなどができます。

  • 参加者のルーム間移動の管理

参加者がルーム間の移動ができるかどうかを設定・管理できます。

  • 各ルームに表示されるアナウンスの送信

各ルームに主催者として、会議チャットメッセージでアナウンスを送信できます。

  • 各ルームのチャット・ファイル・レコーディングにアクセス

すべてのルームでやり取りのあったチャット、ファイル、レコーディングにアクセスすることができます。

  • 参加者の一括ミュート

参加者が多い場合、マイク音声を一括でミュートできます。

ブレイクアウトルームの参加者には制約も?

ブレイクアウトルームでの参加者は主催者に比べできることも制限されます。ここでは、参加者ができることとできないことを見てみましょう。

ブレイクアウトルームの参加者ができること

ここでは、ブレイクアウトルームの参加者ができることを紹介します。

  1. さまざまなデバイスからの参加

参加者はデスクトップアプリやWeb アプリ、iOS、Android アプリなど多様なデバイスから参加できます。ただし、卓上電話機や会議システムから参加した場合、各ルームへの移動はできません。

  1. プレゼンターとして参加できる

参加者はプレゼンターとして、ホワイトボードを使っての発表や画面共有などを行えます。

  1. 割り当てられたルームでのチャット

参加者は開催者が割り当てたルーム内でチャットを行えます。

ブレイクアウトルームの参加者ができないこと

次に、ブレイクアウトルームの参加者ができないことについて紹介します。

  1. 自分以外の参加者を会議に招待する

参加者は自分以外の参加者を会議に招待できず、一旦、退出した参加者を改めて呼び戻す、いわゆるコールバックもできません。

  1. ルーム間を移動する

参加者はブレイクアウトルーム間の移動をすることはできません。

  1. 複数のデバイスを使い、同じ会議に参加する

たとえば、スマートフォンとパソコンから同じアカウントを使って同じ会議に参加することはできません。

Teams のブレイクアウトルームの使用方法

具体的にブレイクアウトルームを使用する方法について解説します。

ブレイクアウトルームを作成する

ブレイクアウトルームは、会議やセミナーの開催前もしくは開催中の作成が可能です。ここでは、それぞれの作成方法について見ていきましょう。

会議前に事前設定する方法

参加者が多い、地区別や申し込み順など何かしらの規則に基づいたグループ分けが必要な場合は、会議前に事前設定しておくとスムーズです。では順を追って設定方法を紹介します。

  1. Teams のカレンダーからブレイクアウトルームの設定をしたい会議やセミナーの編集画面を開く
  2. 編集画面の右上にある「ブレイクアウトルーム」のタブをクリックする
  3. ブレイクアウトルームの作成ページにある「ルームの作成」をクリックする
  4. 作成するルーム数を選択し、「ルームを追加」をクリックする(最大50ルームまで)

これで会議前にブレイクアウトルームを事前設定する工程は完了です。

会議中に設定する方法

会議やセミナー中にブレイクアウトルームを設定する方法は次のとおりです。

  1. 主催者が会議やセミナーの状況に応じて、会議コントロールにある「ブレイクアウトルーム」を選択する
  2. 作成するルーム数を選択し、割り当て方法から「自動」もしくは「手動」を選択する。ただし、会議後半になってからは自動割り当てはできない
  3. 「ルームの作成」をクリックする

これで会議中にブレイクアウトルームを設定する工程は完了です。

参加者をブレイクアウトルームに割り当てる

ブレイクアウトルームを作成したら、次は各ルームに参加者を割り当てます。これも会議前と会議中で方法が異なるため、それぞれの方法について順を追って見ていきましょう。

会議前に事前設定する方法

会議やセミナーの前に割り当て設定を行うには、前述した設定方法のルーム数を決定した後、次の手順で進めていきます。

  1. ブレイクアウトルームで「参加者の割り当て」をクリックし、「自動」もしくは「手動」のどちらの方法で割り当てを行うかを指定する
  2. 「自動」を選択すればすぐに各ルームに参加者が割り振られる。手動とした場合は、主催者が参加者一人ひとりをどのルームに割り当てるかを設定する
  3. 参加者の割り当て」の画面上で、各ルームに設定した参加者の人数が正しく割り当てられているかを確認する。参加者の名前まで確認する場合は、改めて「参加者の割り当て」をクリックする

参加者数や割り当て場所に問題がなければ参加者の割り当ては完了です。

会議中に設定する方法

会議やセミナー中に割り当て設定を行うには、前述した設定方法のルーム数を決定した次からの作業となります。

  1. 会議コントロールから「ブレイクアウトルーム」を選択する
  2. 「参加者を割り当てる」を選択し、会議前半であれば「自動」もしくは「手動」。会議後半であれば、「手動」を選択し、「次へ」をクリックする
  3. 手動とした場合は、主催者が参加者一人ひとりをどのルームに割り当てるかを設定する

すべての参加者の割り当てを行い、間違いがなければ「確認」を選択し、割り当て完了です。

その他の設定

ブレイクアウトルームの作成や参加者の割り当て以外のおもな設定方法は次のとおりです。

ブレイクアウトルームに名前をつける・変更する

主催者はブレイクアウトルームの名前を自由に作成・変更することが可能です。名前をつける際には、ブレイクアウトルームの「参加者を割り当てる」の画面上で、名前を付けたいルームを選択します。名前を付ける前の段階では「room〇(ルーム数)」となっているので、ここを自由に変えて名前をつけましょう。

変更する場合は、会議コントロールのブレイクアウトルームを選択し、ルームにマウスポインターを合わせるとメニューが表示されます。そこから「その他のオプション」、「会議室の名前を変更」を選択し、新しい名前を入力後、「名前を変更」をクリックしてください。

時間制限を設ける

ブレイクアウトルームでは、時間制限を設けて限られた時間のなかでセッションを行うことも可能です。

設定方法は、会議コントロールからブレイクアウトルームを選択し、「会議室の設定」、「時間制限の設定」から時間の長さを選択します。その後、時間を設定したら、「戻る」をクリックし、変更を保存で設定完了です。

時間制限を設けると、各ルームにタイマーが表示されるので参加者全員が時間を確認しながらセッションを行えるようになります。

なお、時間制限を過ぎると、ルームは自動で閉じられ参加者はメインの会議室に戻るので自分から何かをする必要はありません。

お知らせを送信する

すべてのルームに同時にお知らせを送信することも可能です。たとえば、セミナーのグループワークでそれぞれのルームの進捗状況をアナウンスする。会議のディスカッションで、残り時間をアナウンスするといった使い方ができます。

お知らせを送信するには、会議コントロールからブレイクアウトルームを選択。ブレイクアウトルームと表示されている右側にある「…」をクリックし、「アナウンスを作成」を選択します。アナウンスの入力欄が表示されるので、入力し、「送信」をクリックすれば各ルームにお知らせが送信されます。

ブレイクアウトルームのマネージャーを設定する

主催者は、ルームにいる参加者のなかから、マネージャーを一人だけ設定して管理を委任できます。設定方法は次のとおりです。

  1. 会議、セミナー前に設定する場合は、Teams のカレンダーから目的の会議、セミナーを選択し、ブレイクアウトルームに移動する
  2. 「会議室の設定」を選択し、「発表者を割り当ててルームを管理する」の切り替えをオンにする

「発表者を検索する」を選択し、ブレイクアウトルームマネージャーに指名する参加者を選択すれば、設定完了です。

なお、会議中に設定する場合は、「発表者を割り当ててルームを管理する」の切り替えをオンにしたうえで、「会議のオプションに移動」から発表者を追加し、参加者を選択します。

ブレイクアウトルームが表示されない場合も?使用の注意点とは

設定によってはブレイクルームが表示されなくなる可能性もあります。ここではブレイクルームを適切に使用するための注意点を見てみましょう。

ブレイクアウトルームマネージャーへの設定漏れに注意

チャネル会議の開催者に設定されていない、もしくはブレイクアウトルームマネージャーとして設定されていないとブレイクアウトルームは表示されません。

ルームマネージャーに委任する設定が漏れていないかどうかの確認は必ず事前に行うようにしましょう。

対応していない環境ではブレイクアウトルームが作成できない

OS やライセンスが対応していないとブレイクアウトルームは作成できず表示もされません。具体的には Office 365 Business ライセンスを使用していて、パソコン用のデスクトップアプリを使用している必要があります。

Windows や macOS 以外の OS、PSTN、VDI クライアントなどは対象外になるため、参加はできてもブレイクアウトルームの管理は行えません。

ほか、スマートフォンアプリからも参加は可能ですが、ブレイクアウトルームの作成、管理ができるのは PC 用のデスクトップアプリのみです。

ルームマネージャー設定をすると開催者のルーム管理権限がなくなる

開催者はルームマネージャーの設定を行い、管理権限を委任できます。ただし、一旦委任してしまえば、その後、開催者はそのルームを管理する権限がなくなってしまう点は注意しなくてはなりません。

具体的にできなくなるのは、ルームの追加や削除、参加者の割り当て、再割り当て、ルームの開閉、任意ルームへの参加、時間制限の設定、お知らせ送信、会議室の再作成などです。

Teams のブレイクアウトルームで会議を効率化しよう

Teams のブレイクアウトルームとは、Teams で会議やセミナーを行う際、事前もしくは会議中に参加者を複数のグループに分けてディスカッションを行うための機能です。

参加者が 100 名を超えていて、多くの意見を聞くことができない、セミナーでグループワークを取り入れたいといった際に、自動もしくは手動で簡単にグループ分けを行えます。

Web 会議は離れた場所にいても対面と同じように会議を行うことが可能です。そのため、移動時間の削減や会場確保の手間などのメリットがありますが、参加者が多いと全体の意見を聞くのが難しいといったデメリットもあります。

しかし、ブレイクアウトルームを使えば、最大 50 のルームをつくりそれぞれでディスカッションを行えるため、短時間でより多くの意見を取り入れることも可能です。ルームの設定も会議前や会議中に簡単にできることから、Web 会議の効率化に大きく貢献します。

Web 会議の効率化にお悩みの際は、ぜひ、ブレイクアウトルームを活用されてみてはいかがでしょう。

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