Teams の文字起こし機能とは?議事録への活用や翻訳の方法も解説

Web 会議の際に、議事録作りが大変と感じる人は多いのではないでしょうか。 Teams には「トランスクリプション」という文字起こし機能(トランスクリプト)が搭載されており、保存された文字起こし議事録を効率よく作成できます。ライブキャプションで会話を字幕のように流すこともできますが、トランスクリプションでは文字起こしのダウンロードやコピーが可能です。

また、 Teams にはリアルタイム翻訳機能も搭載されており、設定することで使い慣れた言語に翻訳して文字起こしすることもできます。

ここでは、 Teams のトランスクリプション機能について解説します。また、似た機能であるライブキャプションとの違いや具体的な使用法、活用のメリット、使用する際の注意点などを紹介するので、ぜひ参考にしてください。

Teams の文字起こし機能「トランスクリプション」とは

Teams の文字起こし機能「トランスクリプション」は、会議内容をリアルタイムで文字起こしして、参加者(ユーザー)の画面に表示する機能です。

文字起こししたデータには、どのユーザーが発言した内容かも記録されています。また、文字起こししたデータは会議後にダウンロードできるので、会議の参加者や、参加できなかった人と会議の内容を共有できます。

トランスクリプションとライブキャプションの違い

トランスクリプションと似た機能に、ライブキャプションという機能があります。トランスクリプションは、会議中の文字起こししたり文字起こししたデータを保存したりする機能を指します。対して、ライブキャプションとは、会議中の発言をリアルタイムで字幕のように表示する機能です。

それぞれの機能の特徴を表にまとめたので、参考にしてください。

※トランスクリプションは Teams の無料プランでは使用できません。

トランスクリプションライブキャプション
リアルタイム文字起こし
文字起こしデータの保存不可
モバイル版の有無有りなし
無料・有料有料無料

このように、どちらの機能もリアルタイムでの文字起こしが可能です。

ただし、ライブキャプションではデータのダウンロードはできません。文字起こしした内容を保存することができないため、議事録の作成などには不向きです。また、ライブキャプションはモバイル版では使用不可となっているため、スマホやタブレットで文字起こししたい場合はトランスクリプションを利用しましょう。

Teams ではリアルタイムの翻訳も可能

有料プランである「 Teams Premium 」の登録が必要となりますが、ライブキャプション機能を活用すると、自動翻訳によるリアルタイムな文字起こしが可能です。

翻訳する際は、「発表者の言語」と「字幕で使いたい言語」を選択しましょう。発表者の言語は発表者自身が設定し、字幕で表示したい言語はユーザーが個々の希望に合わせて設定します。

2025 年 9 月現在、 Teams では英語や中国語などをはじめとした 50 を超える言語から目的の言語を選択できます。また、字幕では、最大 6 つの言語を表示可能です。

プレゼンテーションを聴講するなど、発表者がある程度固定されている場合は、 Teams の翻訳機能が役立つでしょう。

Teams の文字起こし機能(トランスクリプト)を活用するメリット

Teams のトランスクリプション機能を活用するメリットは以下のとおりです。

  • 議事録の作成時間を短縮できる
  • 会議の内容の振り返りが簡単になる
  • 音声が聞き取れない場合でも会議の内容を理解できる

Teams のトランスクリプション機能を活用すると、議事録作成以外にも多くのメリットを得られます。

議事録の作成時間を短縮できる

文字起こししたテキストデータを活用すると、議事録の作成を効率化できます。手書きのメモや音声データを元に一から議事録を作るとなると、非常に時間がかかります。

しかも、メモが読みにくかったり、音声が不明瞭な部分があったりすると、会議の参加者に質問するなどして情報を補完しなくてはなりません。

文字起こししたテキストデータがあれば、手書きのメモと照合しつつ速やかに議事録を作成可能です。聞き逃した部分も、テキストデータを見れば正確な情報を確認できます。

会議の内容の振り返りが簡単になる

トランスクリプション機能を活用すると、途中参加したユーザーでも会議の内容を把握できます。会議の始まりまでさかのぼって文字起こしのデータを見られるため、会議の進行を止めずに話題についていくことができるようになります。

活発に会議をしていると、いったん状況を整理したいと感じることもあるでしょう。

しかし、会議に集中していると、どのような意見が出たのか、誰の発言であったのかを思い出せないかもしれません。テキストデータで会議を振り返ると、誰がどのような意見を言ったか整理できるため、円滑に会議を進行できます。

音声が聞き取れない場合でも会議の内容を理解できる

リアルタイムに文字起こしのデータを見られると、音声だけの会議よりも内容を理解しやすくなります。

例えば、周囲が騒がしく会議の内容を聞き取れなかったとしても、文字起こしのデータを見れば聞こえなかった部分を確認できます。通信環境が不安定な場所にいる人や、耳が不自由な人にとっても、文字起こしのデータが役立つでしょう。

また、外国語話者との会議では、上述したライブキャプション機能を使うと便利です。翻訳された状態でリアルタイムに文字起こししてもらえると、言語の不安がなくなり安心して会議に参加できます。

Teamsで文字起こし(トランスクリプト)機能を使う前の準備

文字起こし機能を Teams で使うには、事前に準備や設定などを行う必要があります。トランスクリプションを利用するために必要な準備は、以下のとおりです。

  • ライセンスとプランを確認する
  • デスクトップ版 Teams を利用する
  • 初回は管理者が管理センターから設定変更する

ここでは、それぞれの内容について詳しく紹介します。

ライセンスとプランを確認する

まずは、 Teams のライセンスとプランを確認しましょう。 Teams には無料プランと有料プランがありますが、文字起こし機能は有料プランでしか利用できません。Office 365やMicrosoft 365などのサブスクリプションとの契約が必要となるため、注意しましょう。 Teams の文字起こし機能が利用できるプランは以下のとおりです。

  • Office 365 E1
  • Office 365 A1
  • Office 365 / Microsoft 365 A3
  • Office 365 / Microsoft 365 A5
  • Microsoft 365 E3、 Microsoft 365 E5
  • Microsoft 365 F1
  • Office 365 / Microsoft 365 F3
  • Microsoft 365 Business Basic
  • Microsoft 365 Business Standard
  • Microsoft 365 Business Premium SKU
  • Teams Essentials

このようにさまざまなプランがあるため、自社に合ったプランを選ぶとよいでしょう。

デスクトップ版Teamsを利用する

文字起こしは Teams のデスクトップアプリ、もしくは Web ブラウザでのみ利用できる機能です。 Teams モバイルアプリでの利用はできないため、あらかじめパソコンに Teams アプリをダウンロードしてセットアップを行っておきましょう。

初回は管理者が管理センターから設定変更する

Teams の文字起こしはデフォルト設定では無効化されているため、そのままでは利用できません。初めてライブトランスクリプション機能を利用する際は、あらかじめ管理センターにアクセスして、設定を変更しておきましょう。

変更手順は、以下のとおりです。

  • 管理センターにアクセスする
  • 「会議ポリシー」で「トランスクリプトの作成を許可する」をオンにする

また、トランスクリプトの言語は、初期設定で英語になっているため注意が必要です。トランスクリプトの言語を英語から日本語に変更する方法は後述しますので、そちらを参考にしてください。

Teams の文字起こし機能(トランスクリプト)の使い方

Teams の文字起こし機能を使う流れは下記のとおりです。

  1. ライブトランスクリプションを開始する
  2. トランスクリプトの言語を英語から日本語に変更する
  3. ライブトランスクリプションを停止する
  4. トランスクリプトをダウンロードする

各手順とポイントを解説します。

1.ライブトランスクリプションを開始する

以下の手順でライブトランスクリプションを開始します。

  1. 会議の制御画面の右上にある「その他の操作」をクリックする
  2. 「トランスクリプションの開始」をクリックする
  3. レコーディングも実施したいときは、「その他の操作」から「記録の開始」をクリックする

ライブトランスクリプションが実行されると、ユーザー全員の画面の右側に、トランスクリプトマークが表示されます。

2.トランスクリプトの言語を英語から日本語に変更する

トランスクリプトの言語は、初期設定が英語です。以下の手順でトランスクリプトの言語を英語から日本語に変更しましょう。なお、設定は保存されないため、会議のたびにトランスクリプトの言語を日本語に設定する必要があります。

  1. トランスクリプト ウィンドウの右上にある「トランスクリプト設定」をクリックする
  2. 「音声の言語を選択する」をクリックする
  3. 日本語を選択して「確認」をクリックする

2025年 9月現在、文字起こし可能な言語は、日本語を含む最大 28 の言語から選択できます。

3.ライブトランスクリプションを停止する

以下の手順でライブトランスクリプトを停止させましょう。

  1. 会議の制御画面の右上にある「その他の操作」をクリックする
  2. 「トランスクリプションを停止する」または「記録を停止する」をクリックする

再びライブトランスクリプションを始めるときは、「1.ライブトランスクリプションを開始する」の手順に従って実行してください。

ライブトランスクリプションは、自由なタイミングで停止・再開できます。雑談など会議の主題とは異なる内容を省いておけば、議事録作成がスムーズになります。

4.トランスクリプトをダウンロードする

トランスクリプトは Teams のカレンダーからダウンロードできます。以下の手順でダウンロードしましょう。

  1. 「カレンダー」 をクリックする
  2. 「会議イベント」の「トランスクリプト」を選択する
  3. 「ダウンロード」で必要なファイルの種類を選択する

トランスクリプトは、共有や削除も可能です。共有の手順は以下のとおりです。

  1. 上述したやり方でトランスクリプトをダウンロードする
  2. 会議チャットで、作成ボックス内の「添付」をクリックして、トランスクリプトをアップロードする

トランスクリプトを削除する手順は以下のとおりです。

  1. 会議を開き「レコーディングとトランスクリプト」をクリックする
  2. 「削除」をクリックする

Teams で文字起こし機能(トランスクリプト)を使う際の注意点

Teams で文字起こしする際は、下記の点に注意が必要です。

  • 文字起こしの精度が低くなる可能性がある
  • 話者識別が上手くいかないことがある
  • ユーザーの種類によって利用できる機能が異なる

それぞれ詳しく解説します。

文字起こしの精度が低くなることがある

Teams で文字起こし機能を利用する場合、会話内容などの要因で文字起こしの精度が低くなるケースがあります。

例えば、日常的に専門用語や、社内で慣例的に用いられているけれど一般的ではない語を頻繁に使う企業もあるでしょう。専門用語や社内用語の登録が上手くいかないと、文字起こしの精度が低くなります。

専門用語が誤って認識されると、似た音の別の語に変換されたり、その部分が意味のない語の羅列になったりしてしまい、会話の内容がわかりにくくなる可能性もあります。多少の変換間違いであれば流れで理解できますが、何度も誤変換が続くと意味が伝わりにくくなるおそれもあるでしょう。

また、誤変換された部分を修正するために聞き直す必要があるため、議事録の作成に余計な手間がかかってしまうというデメリットがあります。

文字起こしの精度を向上させるためのヒント

文字起こしの精度を高めるためのポイントとしては、以下が挙げられます。

  • クリアな音質のマイクを使う
  • 複数人で同時に話さないように意識する
  • 静かな環境で話す

マイクの音質が悪いと誤変換される可能性が高まるため、できるだけ性能の良いマイクを使いましょう。また、マイクに近づいて話す、マイクと話者が向き合って話すなども意識すると認識されやすくなります。

また、複数の話者の発言が重なってしまうと、誰が何を発言しているのか人の耳でも分かりづらくなります。このような状況では、文字起こしが正しくされない可能性が高まります。基本的なマナーとして、同時に話さず1人ずつ発言することも大切です。

そのほか、雑音や、他の人の声が入るような環境でも文字起こしの精度は低くなります。会議に適した静かな環境を整えることも意識しましょう。

話者識別が上手くいかないことがある

Teams で文字起こし機能を利用する際、状況によって「誰が発言しているのか」の識別が上手くいかないケースもあります。

通常、Teams の文字起こしでは発言者を自動で認識して、その会議に参加しているユーザーのアカウントごとに仕分けをしてくれます。

ところが、たとえば会議室に複数人集まって代表者の Web 会議につなぐ場合、会議室にいる代表者以外の人が発言しても、代表者の発言として振り分けられてしまうことがあります。

このように、複数人で1つの Web 会議に参加しているシーンでTeamsの文字起こしを利用する場合は、識別機能が正しく働いているか、注意しましょう。発言者を正確に振り分けたい場合は、1人ずつ個別のパソコンから Web 会議に参加するなどの工夫が必要です。

ユーザーの権限によって利用できる機能が異なる

ライブ文字起こし機能は、ユーザーに与えられた権限によって利用できる機能が異なります。以下に、ユーザーごとに使える機能を一覧化しました。利用できる機能に○、利用できない機能に×と記載しています。

 トランスクリプションの開始と停止ライブトランスクリプションの表示会議終了後のトランスクリプト表示トランスクリプションのダウンロードと共有トランスクリプションの削除
主催者
アクセス許可があるユーザー×
アクセス許可がないユーザー××××
匿名ユーザー×××××

匿名ユーザーは会議には参加できますが、トランスクリプション機能は利用できません。

Teamsの文字起こしで会議を効率化しよう

Teams のトランスクリプション機能を使うと、会議の内容のリアルタイムな文字起こしが可能です。ライブキャプション機能を使うとリアルタイムに日本語に翻訳もできるため、海外の人との会議でも安心です。

文字起こしのデータはテキスト形式で保存されるので、データを見返して議事録の作成時間を短縮できます。Teamsの文字起こし機能を活用し、会議を効率化しましょう。

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