企業では日々、メールやクラウドストレージ、チャットツールなどを通じてデータの送受信が行われています。しかしこうした手段には、誤送信による情報漏えいやマルウェア感染、アクセス権限の設定ミスなど、看過できないリスクも少なくありません。
近年は個人情報保護法の改正により、情報漏えいに対する企業の責任が一段と重くなりました。法的な制裁だけでなく、取引先からの信頼失墜という深刻な事態にも発展しかねません。
そこで本記事では、データ送信が抱えるリスクを整理した上で、主な送信手段の特徴と課題を比較します。そして、セキュアなデータ送信を実現するための基本的な対策と、クラウドストレージによる一元管理という解決策をご紹介します。
データ送信のセキュリティが企業の重要課題になっている背景
企業がデータ送信のセキュリティを重視しなければならない理由として、個人情報保護の重要性が高まった点が挙げられます。それ以外にも、次のような点でセキュリティが企業の重要課題となっています。
個人情報の重要性が高まった
2022 年 4 月に改正個人情報保護法が全面施行され、企業に課せられる義務と罰則が大幅に強化されました。改正前と比べた主な罰則の変更点は次のとおりです。
- 措置命令違反: 30 万円以下の罰金 → 1 年以下の懲役または 100 万円以下の罰金
- 報告義務違反: 30 万円以下の罰金 → 50 万円以下の罰金
- 法人による措置命令違反: 30 万円以下の罰金 → 1 億円以下の罰金
- 法人による個人情報データベース等の不正流用: 50 万円以下の罰金 → 1 億円以下の罰金
法人への罰金は最大 1 億円以下に引き上げられており、企業規模を問わず情報管理の徹底が欠かせません。個人情報が漏えいした場合の個人情報保護委員会への報告・本人通知も義務化されており、不適切なデータ送信が企業の信頼損失に直結する時代になっています。
大容量データの扱いが増えた
動画コンテンツや高解像度画像、設計データなど、業務で扱うファイルの大容量化が急速に進んでいます。多くのメールサービスでは添付ファイルに数 MB 〜 25MB 程度の容量制限があり、大容量データの送受信に対応しきれないケースも珍しくありません。
このような状況では、従業員が個人の判断で無料のファイル転送サービスや私的クラウドを使うシャドーITが発生しやすくなります。セキュリティ管理の観点から大きな問題であり、企業として安全に大容量データを扱える環境の整備が急務です。
セキュリティ事故が企業評価を左右する
情報漏えいやセキュリティ事故が発生した場合、企業は法的責任だけでなく、取引先・顧客からの信頼を大きく損ないます。事故の内容によっては取引の停止や契約解除につながることもあり、経営への打撃は計り知れません。
事故後の調査・対応コストや被害者への補償を含めると、ひとつのインシデントが企業全体に与える影響は多岐にわたります。
IPA (情報処理推進機構)の「情報セキュリティ 10 大脅威」でも、不注意による情報漏えいは 2025 年まで組織向け脅威として常に 10 位以内にランクインしていました。そのため、日常的なデータ送信に潜むリスクへの対策は現在でもなお、重要視されています。
データ送信に潜む主なセキュリティリスク
データ送信には、送信方法を問わず共通するリスクがあります。
誤送信によって情報漏えいが起こる
IPA (情報処理推進機構) は、不注意による情報漏えいの原因として、メールの誤送信を代表的なパターンのひとつに挙げています。具体的には次のようなケースが報告されています。
- BCC で送るべき宛先を誤って CC に入力し、受信者全員にアドレスが公開される
- メーラーのオートコンプリート機能により、似た名前の別人に送信してしまう
- メールアドレスの1文字違いで、意図しない第三者に情報が届く
一度送信したメールは取り消しが困難であり、機密情報や個人情報が意図しない相手に渡りかねません。注意だけでは防ぎきれないことも多く、システム側での対策が求められます。
マルウェアに感染するリスクがある
メールでファイルを送信する際、送信側が意図せずマルウェアに感染したファイルを添付してしまうリスクがあります。自社の端末がすでに感染している場合、通常業務のやり取りとして送信したファイルが取引先や顧客に被害を広げる原因となりかねません。。
感染した端末を起点に社内ネットワーク全体へ被害が拡大する事例もあり、ランサムウェアによる業務停止や機密データの窃取という深刻な事態につながります。
メール添付という手段そのものが、ファイルのウイルスチェックや送信前の安全性確認を徹底しにくい構造であり、企業として安全なデータ送信を保証することが難しいという課題があります。
外部共有した情報が流出する
クラウドストレージのリンク共有機能は便利な反面、設定を誤ると意図しない相手にデータが公開されるリスクがあります。
たとえば、「リンクを知っている全員がアクセス可能」という設定のまま社外に共有した場合、リンクが拡散されることで情報が広範囲に流出する恐れがあります。
また、共有リンクに有効期限を設定し忘れると、退職した元従業員や業務終了後の元取引先がデータにアクセスできるという事態にもなりかねません。
データが拡散して管理できなくなる
メール添付やチャット、クラウド共有など複数の手段でデータをやり取りしていると、同一ファイルのコピーがあちこちに存在する状態が生まれます。
バージョン管理がされないまま複数の編集版が出回り、「どれが最新か」が把握できなくなるケースも少なくありません。データの分散は情報漏えいリスクを高めるだけでなく、業務効率の低下やインシデント発生時の原因特定も困難になってしまうでしょう。
企業で使われる主なデータ送信方法とそのリスク
企業が実際に利用している代表的な送信方法の利便性とリスクを整理します。
| 送信方法 | メリット | 主なリスク |
|---|---|---|
| メール添付 | 手軽・ほぼすべての取引先に対応 | 容量制限・誤送信・マルウェア感染 |
| ファイル転送サービス | 大容量対応・ URL で手軽に共有 | URL 拡散・アクセス制限が弱い |
| クラウドストレージ共有 | 大容量可能・複数人での編集が可能 | 設定ミスによる情報流出・期限管理忘れ |
| チャットツール | 素早い対応・会話と紐づけての管理 | データの流れ・バージョン管理の困難さ |
メールにファイルを添付する
最も一般的な送信手段ですが、多くのサービスでは容量に上限があり、大容量データの送信には不向きです。一度送信したファイルは原則として取り消しできず、誤送信が情報漏えいに直結します。
受信者がローカルにファイルを保存することでデータ分散の可能性があり、バージョン管理が難しくなるでしょう。添付ファイルを悪用したマルウェア攻撃の温床にもなりやすく、重要データの送信には補完措置が必要です。
ファイル転送サービスを利用する
大容量ファイルを URL で相手に共有できる手段として普及しています。メール添付の容量制限を回避できる点では便利ですが、発行した URL が意図せず拡散する可能性があるのがリスクです。
また、無料サービスでは暗号化やアクセス制限の機能が限定的なものも多く、セキュリティレベルが企業のニーズに応えられない場合があります。ほか、ファイルのダウンロード状況を追跡できないサービスでは、誰がいつアクセスしたかの確認が難しく、情報管理の観点から問題が生じてしまうでしょう。
OneDrive などのクラウドストレージで共有する
OneDrive や SharePoint などのクラウドストレージは、大容量ファイルの共有や複数人での同時編集に適しており、業務効率化に貢献します。しかし共有設定の管理が不十分だと、情報漏えいのリスクが生じかねません。
具体的には、共有範囲を「リンクを知っている全員」に設定したまま外部に送付するケース、有効期限の設定を忘れて共有状態が継続するケースです。 Microsoft 365 の標準機能では、共有リンクの作成状況やアクセス状況の確認が煩雑になりやすく、管理者の負担が大きくなりがちな点も課題といえます。
チャットツールでデータを送信する
Chatwork や Microsoft Teams などのビジネスチャットツールは、素早いファイル共有が可能です。会話と紐づけてデータを送れる点が便利に映りますが、チャット上のファイルはメッセージとともに流れやすく、後から必要なデータを探すのが難しくなります。
また、複数のチャンネルにファイルが点在し、どれが最新かわからなくなるのも大きなリスクです。手軽さの反面、ファイル管理・アクセス管理の面で課題が多く、重要データの送信手段としては補助的な位置づけが適切といえます。
データ送信をセキュアにする基本的な対策
送信方法の見直しと並行して、セキュリティ対策の仕組みを整備することが重要です。ここでは基本的な対策について解説します。
メールの誤送信を防ぐ仕組みを導入する
人的なミスをゼロにすることは難しく、システム側での対策が有効です。代表的なものとして、送信後に一定時間が経過してから配信される「送信遅延機能」があります。
この猶予時間内に誤りに気づいた場合、送信のキャンセルが可能です。また、社外宛てメールの送信前に宛先や添付ファイルの確認を促す「送信確認ポップアップ」機能やBCCへの自動変換機能の活用で、CCへの誤入力による情報流出も防げます。
安全性の高いファイル共有サービスを選ぶ
個人・無料向けサービスではなく、セキュリティ機能が充実した企業向けのファイル共有サービスを選ぶことが重要です。選定の際には、次の点を確認するとよいでしょう。
- ISO / IEC 27017 といったクラウドセキュリティ認証を取得しているか
- 多要素認証( MFA )に対応しているか
- アクセスログの監査記録が残るか
- 通信・保存データの暗号化に対応しているか
無料サービスは手軽な反面、規約上データが広告目的で利用されるリスクや、サービス終了によるデータ消失リスクも存在します。コストに見合った安全なサービスの選択が重要です。
社内でデータ共有のルールを定める
技術的な対策と並行して、データ送信・共有に関するルールを社内で明文化することも重要です。利用するツールを統一し「どのデータはどの手段で送るか」を明確にするだけで、シャドー IT の発生を抑制できます。具体的なルールとして挙げられるのは次の 3 点です。
- 社外への機密データ送信はクラウドストレージのリンク共有のみとする
- パスワード付き圧縮ファイルの送信は禁止する
- 共有リンクには必ず有効期限を設定する
ルールは整備するだけでなく、全従業員への周知・定期的な教育とセットでの運用が効果を高めます。
クラウドストレージでデータ共有を一元管理する
データ送信の安全性を高める方法として、企業向けクラウドストレージによる一元管理が効果的です。
メールやチャットなど複数の手段に分散していたやり取りをクラウドストレージに集約することで、「あのファイルはどこにあるのか」という状況を解消できます。管理者が誰に・いつ・どのデータが共有されているかを一元的に把握・制御できる環境が整うでしょう。
ここでは、クラウドストレージでデータ共有を一元化することの主なメリットについて解説します。
データ送信の方法をクラウド共有で統一する
データ送信をクラウドストレージに統一すると、ファイルの管理場所が一本化され、権限管理やアクセス状況の監視が容易になります。
メール添付からリンク共有への切り替えにより、誤送信が発生した際も共有リンクを無効化して被害を最小限に抑えられるでしょう。ルールの統一もしやすく、従業員への教育コストや管理者の監査負担の軽減も可能です。
大容量のデータも安全に共有できる
企業向けクラウドストレージは、メール添付では対応できない大容量ファイルも問題なく共有できます。
動画ファイルや設計データなど業務で扱う大容量コンテンツをリンク一つで安全に受け渡せる環境整備が可能です。ブラウザ上でプレビューできるサービスも多く、ファイルを相手の端末に渡さずに内容を確認してもらえるのもメリットです。
アクセス権限を後から変更できる
クラウドストレージによるファイル共有の大きなメリットのひとつが、共有後もアクセス権限を柔軟に変更・停止できる点です。
メール添付ではファイル送信後の取り消しが困難ですが、リンク共有であればリンクの無効化や有効期限の変更をいつでも行えます。プロジェクト終了時や担当者の退職・異動の際も、該当者のアクセス権を即座に削除・変更でき、共有リンクのアクセスログで不審なアクセスの早期察知も可能です。
DenshoBako で容量無制限のセキュアなデータ送信を実現する
SharePoint や OneDrive と連携した DenshoBako を活用することで、メールの容量制限に縛られることなく大容量ファイルのリンクを簡単に作成・共有できます。 Microsoft 365 の外部共有機能を組織全体でオンにする必要がなく、部署単位での導入・運用が可能です。
DenshoBako の主な機能は次のとおりです。
- OneDrive や SharePoint から容量・回数無制限でファイルを社外に共有
- パスワード付き共有リンクの作成や、複数ファイルの一括共有に対応
- ファイルが閲覧された際にメールまたは Teams チャットへリアルタイム通知
- 未閲覧者へ自動フォローアップメールを送信し、見落としを防止
- ダッシュボードから従業員のファイル共有状況・アクセス状況を一元確認
- IT 管理者だけでなく、各部門の責任者も監査に参加できる
- 監査ログを期間無制限で保持
ダッシュボードではファイルの共有状況や閲覧ログを一元確認できるため、インシデント発生時の調査をスムーズに行えます。万が一誤送信が発生した場合でも、対象リンクを即座に無効化すれば被害を最小限に抑えられるため安心です。
DenshoBako は ISMAP 登録製品であり、セキュリティ面でも一定の基準を満たしています。機密性の高いデータを扱う場面での導入を、安心して検討できる要素のひとつといえるでしょう。
また、従来のメールやファイル転送サービスでは解決しにくかった「容量制限」「誤送信リスク」「共有状況の不透明さ」という三つの課題に対しても、有効な対策を講じています。Microsoft 365 との連携により、既存の業務環境を活かしながらセキュアなデータ送信を実現します。データ送信の方法を見直し、セキュアな環境構築を検討している企業にとって、現実的な選択肢となるでしょう。
貴社のファイル共有、本当に安全ですか?
安全で確実なデータ送信方法について検討されている企業担当者様は、ぜひ DenshoBako の導入をご検討ください
