「使用頻度の低いデータなどを効率的にアーカイブすることで、Opus導入前の2023年と比較して、2024年はストレージに保存するデータを約4割削減することができました」
この事例のポイント
- Cloud Governance(導入時:DocAve Online)により、SharePointサイトのガバナンスに基づく管理を実現
- 1日2TB増加するデータに対し、Opusで全体の約4割のデータを削減。ストレージ購入コストの抑制に成功
- エンドユーザーによるリストア対応や柔軟な機能改善により、システム担当者の運用負荷を大幅軽減
「世界TOP Tierの事業の集合体」としてグローバル市場で存在感を発揮
富士フイルムホールディングス株式会社を持株会社とし、富士フイルム株式会社や富士フイルムビジネスイノベーション株式会社などの事業会社で構成される富士フイルムグループは、「ヘルスケア」「エレクトロニクス」「ビジネスイノベーション」「イメージング」の4つの領域でビジネスを展開しています。具体的には、医療機器、バイオ医薬品のCDMO(受託開発・製造)、半導体材料、ディスプレイ材料、オフィスソリューション、デジタルカメラなどの市場でグローバルに存在感を発揮しており、2024年に策定した中期経営計画「VISION2030」では、「世界TOP Tierの事業の集合体としてさまざまなステークホルダーの価値(笑顔)を生み出す企業」を目指す方針を打ち出しています。
M365導入前:社内ポータルとして活用しているSharePointのログ管理を自動化、コンテンツ拡充を効率化
富士フイルムグループにおけるAvePoint製品の導入は、2017年ごろに富士ゼロックス(現・富士フイルムビジネスイノベーション)がDocAve Online(現製品名: Cloud Governance)を採用したことがきっかけです。ICT戦略部の名村 美奈子 氏は、当時の状況を次のように振り返ります。
「当初はCMS(コンテンツマネジメントシステム)を活用して社内イントラネットを構築しており、その後、Microsoft 365の導入に伴い、SharePointを基盤とするサイトへと移行しました。
SharePointは標準のままだと従業員が誰でも自由にサイトを作成できてしまいます。ルールを定めていないとデザインや名称の付け方に統一感がなくなり、サイトの乱立によって生産性が低下してしまいます。Cloud Governanceによりサイト作成を申請制とすることで、ガバナンスに基づくSharePointサイト管理が実現できていると実感しています」
その後、DocAve OnlineはCloud Governanceに名称が変更されました。同社がCloud Governanceの導入により、ログ取得の自動化とコンテンツ拡充の効率化を実現できたことについて、ICT戦略部の萩原 和哉 氏は次のように語ります。
「AvePointのDocAve Online (Cloud Governance)であれば、アクセスログを自動で取得でき、エンドユーザーにも見やすく表示できること、そしてサイトに定期的にアクセスログを自動保存して提供できることはうれしいポイントでした。サイトの管理・運営においては『営業部門が営業資料を作成する際に、どのようなコンテンツを閲覧しているか』などのログからわかる情報を、どのコンテンツを強化すべきかの判断材料として重視していました。しかし、アクセスログはエンドユーザーが容易に扱えるものではなく、システム管理者の関与が不可欠だった上、各部門からのアクセスログの提出依頼が頻繁に発生していました」
M365導入:国・組織を越えた“セキュアでスムーズな連携”を実現する基盤として Microsoft 365を選定
富士ゼロックス(現・富士フイルムビジネスイノベーション)が2019年に富士フイルムホールディングスの完全子会社となった後、富士フイルムグループでは「リージョン(国・地域)やグループ会社間でのコミュニケーションをより円滑にし、意思決定をより迅速に行う」という目的のもと、コミュニケーション改革を実施。グローバルのコミュニケーション基盤となるグループウェアをMicrosoft 365に統一しました。ICT戦略部 マネージャーの藤城 博之 氏は、グループウェアの選定基準について次のように説明します。
「コミュニケーション改革にあたり、『セキュリティ・ガバナンスの統制』と『業務効率の最大化』という2つの観点からグループウェアを選定しました。まず、全社レベルでコミュニケーション手段を統一することにより、情報セキュリティの管理体制を強化する必要がありました。この観点では他社グループウェアも候補に挙がっていましたが、Officeアプリとの親和性は大きなポイントになりました。既存の他社グループウェアでは、ExcelやWordとの互換性に課題があり、社外とのファイル共有時に文字化けなどが発生していました。こうした複数の要因を総合的に判断し、最適解としてMicrosoft 365の導入を決定しました」
ICT戦略部 マネージャーの長谷部 隆 氏によると、富士フイルムホールディングスにおけるMicrosoft 365への移行は、まず従業員のコミュニケーションサービスとしての移行から着手し、その後、特殊な利用ケースへの対応を段階的に進めていったといいます。
「これまで利用していたグループウェアに存在していた機能が、Microsoft 365には搭載されていないケースもありました。それらの機能をどのように再定義し、従業員展開していくかが課題でした。また、従来実現できていたことを維持しながら、新しい使い方をどのように提示していくかも検討が必要でした。さらに、従業員間のコミュニケーションが改善された点を、どのように評価するかという観点でも調整が求められました。そうした課題を乗り越えつつ、2023年度には従業員の移行を、2024年度には特殊な利用ケースも含めたMicrosoft 365への移行をそれぞれ完了することができました」
M365導入後の課題とAvePointの導入効果:
データ量が2TB/日ずつ増える中でデータ量を前年比4割削減、追加ストレージの購入を減らすことに成功
Microsoft 365への移行に伴い、SharePointを文書共有の中核とする方針が固まり、不要なコンテンツの整理・アーカイブといった仕組みの整備も求められるようになりました。
「2023年からSharePointを文書共有サイトとして本格的に運用し始めました。それにあわせて2022年に、富士フイルムビジネスイノベーションのみで活用していたAvePoint Cloud Archiving(現・Opus)も、全社展開を視野に入れて移行計画に組み込みました。アクセス頻度の低い文書を自動的にアーカイブしてくれる点が非常に魅力的だと感じたためです。2023年8月に後継製品となるOpusをご提案いただき、2024年2月から本格運用を開始しました」(名村氏)
Opusの全社展開も大きな導入効果につながったと萩原 氏は説明します。
「当社の SharePointストレージは約1.4PBと大規模で、さらにデータ量が1日あたり2TBずつ増加する状況です。こうした中、使用頻度の低いデータなどを効率的にアーカイブすることで、Opus導入前の2023年と比較して、2024年はストレージに保存するデータを約4割削減することができました。従来、データ量の増加に対応するためにはストレージの追加購入が必要でしたが、Opus導入以降、その購入量を抑えられており、大きなメリットを感じています。仮にOpusを導入していなければ、すべてのデータを保存し続けることになり、そのコストは非常に大きな負担となっていたはずです。今後もアーカイブを積極的に進め、最終的にはストレージの追加購入が不要となる状態を目指しています。また、アーカイブは主にルールに基づいて自動的に実施されますが、『この資料はアーカイブしないでほしい』といったユーザーからの問い合わせも一定数あります。Opusでは、エンドユーザーによるリストア機能が搭載されており、アーカイブされたデータをリストアする際に、システム担当者の対応を必要とせず、エンドユーザー自身でデータを復元できる点は非常に助かっています」
さらに、 名村 氏はAvePointの製品改善に対する姿勢も高く評価しています。
「AvePoint製品は、改善要望に迅速に応えていただけるのが魅力です。たとえばOpusでは、当初すべてのバージョンがアーカイブ対象となる仕様だったため、アーカイブ先の容量が想定以上に膨らんでしまうという課題がありました。これを相談したところ、最新版のみを対象とする仕様に対応いただき、結果としてアーカイブ先のデータ量を1/10にまで削減できました。さらに、アーカイブから不要なデータも削除可能になり、非常に実用的な改善だったと感じています」

展望:Microsoft 365の安全で効率的な運用のためにさらなるAvePoint製品の進化に期待
今後のAvePointに対する期待について、萩原 氏は次のように述べています。
「Cloud Governanceはまだまだ使い倒していきたいと思っています。弊社独自の運用管理ツールを開発・使用していると、やはり保守が大変です。Microsoft 365などのクラウド製品はどんどん機能が変わっていきますので、頻繁に改修を行わなければなりません。しかし、サードパーティ製の運用管理ソフトウェアがその変化に追随していってくれれば、開発の工数も省略できるので、安心して業務ができると感じます」
続けて名村 氏は、将来的なニーズとしてアクセス権管理の改善に期待を寄せているといいます。
「権限の管理が今までより容易にできるようになればと感じています。組織改編時などに効率的に運用を行うため、まずは『誰に・どのような権限が付与されているのか』を明確に洗い出し、可視化された状態で各部門の管理者に運用を委譲できるようにしたいと考えています。そういった仕組みを実現できるツールがあれば、ぜひ導入を検討したいと思っています。もしAvePointの製品で対応できるものであれば、前向きに導入を考えたいですね」
富士フイルムグループでは、急速に変化するクラウド環境への対応と、増加し続けるデータ資産を安定的かつ効率的に運用していくための仕組みづくりを継続的に推進しています。今後も新たなソリューションの活用も視野に入れ、さらなる運用効率化とガバナンス強化を両立させる方針です。
