Exchange OnlineでEWSが廃止へ:Microsoft Graphへの移行とAvePointの対応

マイクロソフトは、Exchange Onlineにおける従来型のExchange Web Services(EWS)の提供を終了し、Microsoft Graphへの移行を推進しています。同社は2026年10月1日より、サードパーティ製アプリからのEWSリクエストをブロック開始する予定であり、EWSをグローバルに無効化する方針に沿って、自社製品からのEWS依存性の除去も進めています。

AvePointは、影響を受ける全製品(Cloud Backup for Microsoft 365、Fly、Fly Server、AvePoint Opus)において円滑な移行を確保すべく、マイクロソフトと緊密に連携しています。本記事では、廃止のスケジュールや代替手段、そしてAvePoint製品をご利用のお客様への影響と対応についてご説明します。

変更点とスケジュール

  • 提供終了計画
    マイクロソフトは、2026年10月1日より、Exchange Onlineに対する非マイクロソフト製アプリケーションからのEWSリクエストを遮断することを発表しました。今回の提供終了はオンプレミス版Exchange Serverには適用されません。
  • 拡大された範囲とセキュリティ対策
    Midnight Blizzardインシデントを受けて、マイクロソフトは自社アプリケーションにおけるEWS依存性の排除作業を拡大し、全ての組織を対象としたEWSのグローバルな無効化を推進しています。同社はMicrosoft Graphの機能差を解消するとともに、必要に応じてガイダンスの公開を進めています。

代替手段:Microsoft Graph

Microsoft Graph が正式な代替手段です。Graph を利用することで、Exchange Online の以下の機能にアクセスできます。

  • メール / カレンダー / 連絡先 / メールボックス設定 / 関連するワークロード


マイクロソフトは EWS から Graph への API マッピングを公開しており、現在も以下の機能差を解消するために積極的に取り組んでいます。
※ 2025/10/29 現在の情報です。

  • インポート / エクスポート / シナリオ / パブリックフォルダー / アーカイブ /定期イベントの差分取得 / ユーザー構成 / 一部の管理 API

AvePoint の対応方針

AvePoint では、この変更に備えてすでに準備を進めています。EWSを利用している製品(Cloud Backup for M365、Fly、Fly Server、Opus)について、エンジニアリングチームと製品チームは次の取り組みを行っています。

  1. Microsoft Graphへの移行
    現在Graphに機能差がない領域では、EWSベースのフローをMicrosoft Graphへ順次移行しています。バックアップ/復元および移行ユースケースにおいて、性能・拡張性・精度の検証を実施中です。
  2. マイクロソフトとの連携
    エンタープライズ向けバックアップ・移行・ライフサイクル管理に影響する機能差について、マイクロソフトと連携を強化。当社製品が対応するユースケースとEWS/Graph間の機能差について、Microsoft Graphチームと詳細情報を共有しています。
  3. セキュリティ強化
    機能移行に伴い、マイクロソフトのモダン認証パターンと最小権限原則に基づくGraphスコープへ準拠を推進しています。
  4. シームレスな同意フローの設計
    必要に応じて、管理者が自社製品内で明確なステップバイステップガイドに従い権限を更新できる再同意体験を設計中です。カスタムアプリケーションを利用されているお客様には、削除す権限と追加すべき権限を明確に提示し、円滑な移行を保証します。

お客様へのお願い (現時点)

大多数のお客様において、直ちに必要な対応はございません。AvePointが基盤となる移行作業を管理し、必要なアクションがある場合は随時ご連絡いたします。

よくある質問 (FAQ)

  • Q. オンプレミスの Exchange Server は影響ありますか?
     A. いいえ。マイクロソフトの提供終了計画はExchange Onlineが対象です。Exchange Server (オンプレミス) のEWSは本変更の対象外となります。
  • Q. 依存している機能がまだEWSのみの場合どうなりますか?
     A. マイクロソフトは機能差のリストを公開し、積極的に解消を進めております。当社はマイクロソフトと連携し、実装を適切に誘導してまいります。Graphの準備が整った領域から順次移行を進め、未対応の領域についてはマイクロソフトの公式ガイダンスに従い、随時状況をお知らせします。
  • Q. AvePoint アプリの再認証は必要ですか?
     A. 可能性はございます。必要な場合は、リリースノート・カスタマーコミュニケーション・製品内ガイダンスを通じて、明確で検証可能な手順をご提供いたします。

AvePoint のコミットメント

  • 予測可能性の確保:テナント操作(新しいGraph権限やアプリケーションの再承認など)が必要な場合は、事前に十分な猶予をもってご連絡します。
  • 製品内ガイダンス:変更が必要な場合、AvePoint Online Services内で実施内容を明確に示したご案内を表示します。
  • 継続的な更新:マイクロソフトの新規Graph機能リリースや移行作業の進捗に合わせ、随時最新情報を公開してまいります。

さらに、特定の環境についてご質問がある場合は、サポートチームへお問い合わせください。当社は、この移行を安全で、予測可能かつシームレスに進めることに全力を尽くしています。

参考リンク

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